ビル分譲ガイド 不動産投資商品の選び方
皆さん、こんにちは。
株式会社スペースライブラリの羽部です。
この記事は「ビル分譲ガイド 不動産投資商品の選び方」のタイトルで、2025年12月8日に執筆しています。
少しでも、皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 不動産投資商品の名称と特徴
不動産投資の分野では、特にビル投資において多彩な表現が使われます。以下では、特に「ビル分譲」「ビル1棟売り」「投資用不動産」「売りビル」など、不動産投資広告でよく目にするキーワードについて、それぞれの意味・特徴を広告文例とともに分かりやすく整理します。「不動産投資に興味があるのでネットで調べてみようと思うけれど、どのように調べれば良いのかわからない」と感じている方が具体的な物件の情報を調べるうえで必要な基本的な知識としてご覧下さい。
1.ビル分譲(区分所有・1棟全体)
【意味】
・「分譲住宅」が良く使われるため、これに準えた「分譲ビル」という表現でビルの「区分所有権」販売を示す。
・1棟ビルを「フロア単位」または「区画単位」に細かく分割し、個別に販売する方法。購入者は区分所有権を取得する。
・1棟ビル全体を販売する方法。分譲対象がビルという部分に焦点をあてた表現。
・建物の分類はビルとなる不動産について、「区分所有権」を含む「所有権」販売全般を意味する。
【表現例】
・「都心オフィスビルの1区画を区分所有で手軽に購入」
・「フロア単位で所有可能な区分オフィス投資」
・「少額からのオフィス投資。相続・節税対策にも最適」
・「予算に応じた安定資産のビル投資。インフレ対策に最適。」
【対象・特徴】
・一般投資家向けに投資金額が数千万円~数億円程度から参入可能。
・節税対策、相続税対策、資産形成のニーズに対応。
・区分所有建物の場合、他オーナーとの共同管理が必要。
・分譲不動産は所有形態によらず自己使用または賃貸収益を目的とする。
2.ビル1棟売り(1棟収益ビル・1棟オフィス)
・ビル全体(建物1棟丸ごと)を販売する方法。
・ビル分譲が様々な規模の不動産を対象としていることと比較し、1棟は区分所有を除外し、相対的に資産規模が大きい不動産の販売方法。
表現例
・「駅前好立地、1棟収益ビル」
・「人気エリアの1棟オフィスビル。満室稼働中」
・「1棟ビル投資で高収益・高利回りを実現」
特徴
・投資規模が大きく(数億円~数十億円)、比較的富裕層や法人投資家が主対象。
・オーナーが単独所有のため、運営方針を自由に決定できる。
・キャッシュフローと資産規模拡大に向くが、資金力・リスク許容度が求められる。
・収益ビルと表現した場合は賃貸収益を目的とする。1棟オフィスは自己使用が可能な物件も含まれ、自己使用と賃貸収益双方を目的とする場合も含まれる。
3.投資用不動産(収益不動産・オーナーチェンジ物件)
・賃貸収入(インカムゲイン)や売却益(キャピタルゲイン)を目的に取得する不動産の総称。
・賃貸不動産を対象とし、区分所有も1棟全体も対象
表現例
・「投資用区分オフィス、即収益物件」
・「利回り〇%のオーナーチェンジ物件」
・「賃貸稼働中の収益ビル、安定収入物件」
特徴
・購入時点でテナント(借主)が既に入居中の場合は、「オーナーチェンジ物件」と呼ばれる。
・価格に対して年間賃料収入を示した「利回り」を強調する表現が多い。この利回りはあくまで物件比較のための目安であり、投資家が実際に得られる収益は異なる場合がある。
・物件の種類は多様(ビル、マンション、店舗、倉庫など)である。
4.売りビル(販売ビル・売ビル)
・販売目的で市場に出ているビル物件。区分所有ではなく原則として1棟売却を指すことが多い。
表現例
・「売りビル情報多数あり。未公開物件も」
・「都心の売りビル、レア物件につきお早めに」
・「1棟ビル売却案件・非公開案件をご紹介します」
特徴
・区分販売ではなく、1棟まるごとの売却をイメージさせる用語としてよく使われる。
・建物の状態・収益状況・立地によって価格や利回りが変動し、資産価値や出口戦略がポイントになる。
・分譲不動産は所有形態によらず自己使用または賃貸収益を目的とする。
主なターゲットは法人や富裕層の投資家。
5.その他よく使われる不動産投資商品名称
(1)レジデンス・レジ物件
- 居住用マンション・住宅を指し、マンションの賃貸収益を狙った投資。
(2)バリューアップ物件
- リノベーションやリーシング改善により付加価値向上を狙う物件。中古物件を安く買い、改修後に収益性を高める。
(3)底地・借地権付き物件
- 土地所有者と建物所有者が別々の物件。権利調整が複雑だが、安価で高利回りを狙える。
(4)開発素地物件
- 既存建物と土地が対象の不動産のなかで、建物の築年が経過して経済価値が低くなっている場合や既存不適格などの瑕疵がある場合などですべての賃借人退去後に建物解体のうえ新築建物の建築計画を予定する物件。必ずしも建物解体が必要ではなく、建物リニューアルを行う場合もある。
6.各表現の比較・整理
| 表現 | 対象不動産 | 投資規模 | 主な投資家 | 収益性 | 投資難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビル分譲(区分) | オフィス1フロア・店舗1区画 | 中小規模(数千万~数億円) | 個人・中小法人 | 中程度~高め(立地次第) | 易しい(管理も外注可) |
| ビル1棟売り | オフィス・商業ビル1棟 | 大規模(数億~数十億円) | 富裕層・法人 | 中程度~高(リスク・規模大) | - |
| 投資用不動産 | マンション・オフィス・店舗など全般 | 幅広く小規模~大規模まで | 個人~法人まで幅広い | 中程度~高め | - |
| 売りビル(1棟) | 主に1棟のオフィス・商業ビル | 大規模(数億円以上が一般的) | 法人・富裕層中心 | - |
7.不動産投資商品名称のまとめ(ポイント)
・「ビル分譲(区分所有)」はフロアや区画単位で所有可能で、比較的少額投資。
・「ビル1棟売り」「売りビル」は、1棟単位で売却され、法人や富裕層向けの高額投資案件。
・「投資用不動産」は収益性を前提とした全般的な不動産を指し、入居中物件(オーナーチェンジ物件)も含まれる。
こうした用語を理解しつつ、それぞれの投資目的や規模、資産運用戦略に応じて物件選びを行うことが重要です。
第2章 投資金額別商品例と対象資産の特徴
前章で不動産投資商品の広告等で使われる用語の具体例を説明しました。より具体的な不動産投資商品のイメージを持って頂くため、不動産投資商品・対象資産を投資金額帯ごとに具体的に整理し、代表的な投資例・特徴をまとめます。誰にとっても良い投資商品というものは存在しません。下記の整理を参考に、自身の資産規模や目的に合わせて最適な不動産投資商品を選ぶことが重要です。
1.【数十万円~数百万円】不動産小口化商品(不動産クラウドファンディングなど)
・一口10万円~数百万円程度の少額で都心の商業ビルやマンション等に投資可能。
・クラウドファンディング会社が不動産を取得・管理し、出資者は出資金に応じて配当を得る。
・物件管理やテナント対応などは業者任せ。投資初心者向き。
(具体例)
・OwnersBook(ロードスターキャピタル)
・CREAL(クリアル)
・Rimple(プロパティエージェント)
2.【数百万円~数千万円】区分所有マンション(ワンルームマンション投資)
・分譲マンションの1戸(区分)を購入し、賃貸収入を得る。
・都市部で駅近の好立地マンションを中心に需要がある。
・個人投資家が比較的少額で参入しやすく、管理が容易。
(具体例)
・プロパティエージェント
・日本財託
・FJネクストホールディングス(ガーラマンション)
3.【数百万円~数千万円】区分所有オフィス・店舗
・ビルの1フロアまたは区画を区分所有権で購入。
・オフィスビルや商業施設の1フロア単位で、安定的なテナントが入居する立地の良い物件が多い。
・節税・相続対策としても利用される。
(具体例)
・ボルテックス(区分所有オフィス)
・サンフロンティア不動産(バリューアップ物件)
・インテリックス(中古区分商業ビル)
4.【数百万円~数千万円】底地投資(借地権が付いた土地の所有権)
・借地権者が建物を所有し、土地の所有権だけを持つ状態。
・毎月の地代収入は得られるが、土地利用が制限される。
・収益性は低めだが相続税評価減・節税目的で投資される。
(具体例)
・都市部の底地専門業者(トーセイ、日本土地建物、日本商業開発など)
5.【数百万円~数千万円】借地権付建物(一戸建て住宅や小規模建物)
・土地は他人(地主)が所有し、建物のみ所有権を持つ。
・投資額が抑えられる反面、地主との関係性が重要で、土地の利用や建替えに制限あり。
・都心の住宅地や商業エリアで多く存在。投資利回りは高めだが流動性がやや低い。
(具体例)
・都内23区などの借地権付戸建住宅・店舗付き住宅など
・下町エリアでの老朽住宅をリフォームして賃貸運用するケースも多い。
6.【数千万円~1億円未満】ロードサイド店舗(所有権土地建物一括)
・土地・建物の完全所有権で、ロードサイド店舗(コンビニ・飲食店・ドラッグストアなど)を所有。
・投資額が比較的高いが、安定した賃料収入が見込め、管理負担が少ない。
・土地の価値が安定しやすく、中長期的に収益性が高い。
(具体例)
・コンビニ、ドラッグストア、飲食チェーン店(回転寿司、ファストフード)などの単独店舗物件。
・大東建託などが一括借上げ(サブリース)で提供するケースもあり。
7.【数億円以上】オフィスビル1棟・商業ビル1棟
・1棟丸ごと所有するため投資規模が大きく、法人や富裕層向け。
・収益力(利回り)と出口(売却・転売)戦略が重要になる。
・管理は管理会社に委託することが一般的。
(具体例)
・都心の中規模オフィスビル(5億円~10億円)
・商業地(駅前・繁華街)の1棟店舗ビル
8.【数十億円~】大型オフィスビル・商業施設(1棟所有権)
・資金規模が大きく、機関投資家やファンド、REITなどが購入主体となるケースが多い。
・賃料収入だけでなく、価格上昇(キャピタルゲイン)を狙う投資もある。
・一般個人投資家にはハードルが高い。
(具体例)
・J-REITが取得するような丸の内エリア、虎ノ門エリアのオフィスビル(数十億円以上)
・外資系ファンド(ブラックストーン、ケネディクス)等の投資対象
9.投資金額帯別不動産投資商品のまとめ
| 金額帯 | 投資対象(例) | 特徴 | 権利形態 | 対象投資家 |
|---|---|---|---|---|
| 数十~数百万円 | 不動産クラウドファンディング(証券化商品) | 手軽な金額でリスク分散型投資を実現 | 小口化持分・匿名組合出資 | 初心者個人 |
| 百万円~数千万円 | 区分所有マンション・区分所有オフィス | 区分所有マンション・区分所有オフィス 比較的低予算で所有しやすく、節税や資産形成が目的 | 区分所有権 | 個人・小規模投資家 |
| 数百万~数千万円 | 底地・借地権付き家屋 | 制約付きながらも、都心立地を低予算で保有できる | 底地権・借地権付き建物所有権 | 個人・小規模投資家 |
| 数千万円~1億円未満 | ロードサイド店舗(土地建物)など | 安定的で利回りが良く、土地・建物がセットの完全所有 | 完全所有権(土地・建物) | 富裕層・中小法人 |
| 数億円以上 | ビル1棟・大型オフィス・商業ビル | ビル1棟・大型オフィス・商業ビル まとまった資金が必要だが、安定的かつ規模の大きな収益を狙える | 完全所有権(土地・建物) | 富裕層・法人投資家 |
10.投資目的に応じた商品例
●少額からスタートしたい初心者
不動産クラウドファンディング・区分所有ワンルームマンション
●節税・相続税対策の投資家
戸建住宅・区分所有マンション・区分オフィスなど
●安定収益重視の投資家
ロードサイド店舗・賃貸アパートなど
●資金力があり収益性・売却益重視の投資家
都心1棟ビルなど完全所有権型
第3章 投資目的に応じた不動産投資商品例とその説明
投資対象となる不動産について、比較的商品の選択肢が多くあるものについて例を挙げ、「投資対象としての特徴」や「投資のポイント」を簡潔かつ整理して解説します。
1.戸建て住宅(賃貸用)
投資特徴:
- 個人の居住需要に対応した賃貸住宅。
- 単身世帯~ファミリー世帯まで幅広いニーズに対応可能。
- 比較的初期投資額が低め(数百万円~数千万円)。
- 利回りは高めだが、入居者退去時の空室リスクがある。
メリット・デメリット:
- 【メリット】売却しやすい・自己利用に転用可能。
- 【デメリット】1戸空室で収入がゼロになるリスク。
2.アパート・マンション等の共同賃貸住宅(1棟投資)
投資特徴:
- 複数の住戸をまとめて運営するため、空室リスク分散が可能。
- 安定的な家賃収入を期待でき、初心者~プロ投資家まで広く人気。
- 築浅物件は利回り低め(3~5%)、築古物件は高利回り(7~10%以上)も。
メリット・デメリット:
- 【メリット】安定収益・空室リスク分散。
- 【デメリット】修繕コストが大きくなる・管理コスト発生。
3.オフィスビル(1棟・区分所有)
投資特徴:
- 法人がテナントとなるため家賃が高く、安定した収益を見込める。
- 都市部の好立地ほど賃料・稼働率が安定。
- 賃貸契約期間が比較的長い(3~10年)ケースが多い。
メリット・デメリット:
- 【メリット】法人テナントによる長期安定収益。
- 【デメリット】景気影響を受けやすく、空室時の収益低下リスク。
4.テナント商業ビル(店舗・商業施設)
投資特徴:
- 商業店舗、飲食店、クリニック、美容室など、多様な業種が入居。
- ロードサイド店舗は利回り5~8%前後で比較的高収益。
- 立地が極めて重要で、駅前・幹線道路沿いが有利。
メリット・デメリット:
- 【メリット】立地次第で収益性が高い。
- 【デメリット】景気変動の影響を受けやすく、テナント入替時の空室リスクがある。
5.オフィスビル(事務所用途)
投資特徴:
- 法人テナント対象で、賃料が安定しやすい。
- 都市中心部でのニーズが高く、区分所有で小口投資も可能。
- バリューアップ(リノベーション)で資産価値を向上可能。
メリット・デメリット:
- 【メリット】長期契約で安定収益が狙える。
- 【デメリット】景気変動による賃料低下・空室リスク、管理費や修繕コストが高い。
6.テナント商業施設(ショッピングモール・複合商業施設)
投資特徴:
- 大規模施設はREITや法人投資家向き。
- 安定テナントを誘致できれば賃料収益は安定するが、規模が大きく投資額も高額。
- 郊外型大型商業施設は集客次第で収益が変動する。
メリット・デメリット:
- 【メリット】収益の安定性・知名度向上による資産価値維持。
- 【デメリット】空室発生時の影響大。初期投資が高額。
7.底地(土地のみ所有、借地権建物あり)
投資特徴:
- 地代収入を得る目的で投資。自己利用・建築自由度が低い。
- 相続評価額が低く節税に効果的。
メリット・デメリット:
- 【メリット】節税効果・安定収入。
- 【デメリット】土地利用や売却が困難。収益性低め。
8.借地権付き建物(建物のみ所有、土地は借地)
投資特徴:
- 土地は借地のため安く、少額で賃貸用建物を所有可能。
- 比較的利回りが高いが地主との関係性が重要。
メリット・デメリット:
- 【メリット】投資額抑制。利回りは高め。
- 【デメリット】土地利用の制限。地主との交渉が必要。
9.土地・建物の完全所有権(ロードサイド店舗・事業用地)
投資特徴:
- コンビニやファミレス、ドラッグストア等のロードサイド店舗。
- 完全所有のため土地・建物の自由利用や売却が可能。
メリット・デメリット:
- 【メリット】所有権自由度高・安定的収益・売却しやすい。
- 【デメリット】初期投資額が大きめ。
10.ホテル
投資特徴:
- 観光需要に応じた宿泊施設への投資。
- 稼働率や景気に左右されやすく収益性変動あり。
- 都市部ホテル、リゾートホテルなど種類は多様。
メリット・デメリット:
- 【メリット】観光地立地では高収益可能。
- 【デメリット】運営リスク(稼働率変動)が大きい。
11.倉庫・物流施設
投資特徴:
- EC需要増加に伴い、物流拠点ニーズが上昇。
- 賃貸期間が長期(5~10年)で安定収益が見込める。
メリット・デメリット:
- 【メリット】賃料収益安定性高・管理負担低め。
- 【デメリット】立地の選定次第で稼働率・売却難易度が左右。
12.その他の一般的な投資対象例
●コインパーキング・月極駐車場
- 初期費用が比較的安価。土地活用での暫定措置としても一般的。
- 都市部で稼働率が高いが、固定資産税対策としての一時利用。
●トランクルーム・レンタル倉庫
- 初期投資低め・安定したニーズ。利回り高め(8~12%前後)。
- 個人・小口投資家向けの運営会社による投資商品もある。
13.まとめ(不動産投資対象別の特徴比較)
| 種類 | 安定性 | 利回り目安 | 流動性 | 投資難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 戸建て住宅 | △ | 中~高め | 高 | 易 |
| アパート・マンション | 〇(安定) | 中~高め | 中程度 | - |
| オフィスビル | 〇(景気敏感) | 中~高め | 中~難 | - |
| 商業施設 | 〇(立地次第) | 中~高め | 中~難 | - |
| 底地 | ◎(低収益) | 低め | 難しい | - |
| 借地権付建物 | 〇(制約あり) | 中~高め | 難 | - |
| ホテル | △(不安定) | 高め | 難 | - |
| 物流施設 | ◎(安定) | 中 | 中程度 | - |
投資対象ごとに特徴やリスクが異なるため、それぞれの目的・資金力・リスク許容度に応じて選択することが大切です。
第4章 不動産投資商品の立地区分の例とその説明
本章では、代表的な立地分類(都心の商業地、オフィス街、近郊住宅地、地方都市、地方山村)を用いて、不動産投資対象としての特徴を整理します。また、代表的分類に一般的な区分を追加・整理し、それぞれの投資上の留意点もあわせて解説します。必ずしも1つだけに分類されるとは限らない場所もありますが、これらの分類を参考に、自分の投資目的や資金規模、リスク許容度、運営手間に応じて、投資対象の立地を選定するとよいでしょう。
1.立地別の不動産投資特性一覧表
| 立地区分 | 主な投資対象 | 特徴(メリット) | 注意点(デメリット) |
|---|---|---|---|
| 都心商業地 | 商業ビル・店舗・オフィス | 人口・商業集積が高く、需要が安定的。資産価値が高く流動性も高い。土地価格上昇によるキャピタルゲインも期待可。 | 価格が高額で利回りは低め。景気・市場変動の影響を受けやすい。 |
| オフィス街 | オフィスビル・テナントビル | 安定した法人需要。長期賃貸契約で安定収益。区分所有も可能。 | 企業移転など景気変動に伴う空室リスク。築古物件は維持管理コスト高め。 |
| 近郊住宅地 | マンション・アパート・戸建住宅 | ファミリー層中心の安定的な居住ニーズがあり、空室率低め。購入価格も比較的手頃。 | 競争物件が多く家賃競争が激しい。人口減少エリアでは空室リスク増加。 |
| 地方都市(中核都市・地方県庁所在地) | 賃貸住宅・ロードサイド店舗・ビジネスホテル | 購入価格安価。一定の都市需要が存在し、利回りが高め(6~10%)。 | 人口減少・賃料下落・テナント撤退時の空室リスクが大きい。 |
| 地方山村(過疎地) | 別荘・民泊施設・太陽光発電用地 | 土地価格が安く、利回り(表面利回り)が高い。自然資源活用型投資(太陽光・林業など)可能。 | 流動性が低く換金困難。賃貸需要は極めて低い。 |
2.各エリアの詳細な特徴解説
① 都心商業地(銀座、新宿、梅田など)
人口集中度・消費ニーズが高く、店舗ビルやテナント向け商業ビルとして魅力的。
投資対象は高額で利回りは低い(2~4%台)が、キャピタルゲイン(売却益)を狙える可能性もある。
地価が安定して高く、流動性も高い(換金性が良い)。
【広告表現例】
「希少立地!駅徒歩1分の好立地収益ビル」
② オフィス街(東京の丸の内・大手町、大阪の梅田・淀屋橋)
法人がメインターゲットで、安定したテナント需要。
区分所有オフィス投資が一般的で、節税・相続対策としても人気がある。
景気後退や企業移転で一時的な空室が生じやすい。景気敏感型の資産。
利回りは4~6%程度が一般的。
【広告表現例】
「東京主要オフィス街の区分所有ビル、安定稼働中」
「1棟オフィスビル投資、法人テナント契約済み」
③ 近郊住宅地(東京近郊:三鷹・川崎・横浜・千葉・埼玉のベッドタウン)
居住需要が安定し、賃貸住宅・一戸建住宅(賃貸)が人気。
投資物件としては賃貸マンション・アパート中心で、中古戸建を賃貸転用も多い。
ファミリー向け・単身者向けと多様な物件があり、賃貸ニーズは比較的安定。
投資利回りは5~7%程度が一般的で、競争激化のため家賃の維持が難しい地域も多い。
【広告表現例】
「都心通勤圏、満室稼働中の1棟アパート投資」
「利便性良好の中古戸建住宅、リフォーム後即収益可」
④ 地方都市(地方県庁所在地・中核都市、例:仙台、広島、熊本など)
地方都市中心部は人口が安定しているが、周辺エリアは人口減少傾向。
投資物件はマンション、商業店舗、ビジネスホテルが主流。
購入価格が比較的低いため高い利回り(8~10%以上)を狙えるが、将来の空室リスクがある。
【広告表現例】
「地方都市中心街で利回り10%以上の収益アパート」
「地方都市の駅前テナントビル、満室稼働中」
⑤ 地方山村(農村・過疎エリア)
自然豊かな環境を生かした投資が主流(太陽光発電、別荘、民泊施設など)。
投資額は安いが、管理や稼働率に課題が多い。投資としては玄人向き。
流動性が低く売却時に苦労することがある。
【広告表現例】
「地方の別荘地で民泊投資、利回り15%超も可能」
「地方山林を活用した太陽光発電投資、安定的な売電収入」
3.その他、投資対象として一般的なエリア分類(補足)
駅前繁華街(地方都市含む)
- 商業テナント需要が高く、空室リスクが低い。
- 1棟ビル投資、店舗区分投資として有効。
ロードサイド店舗(郊外エリア)
- コンビニ・飲食店・ドラッグストアなど、郊外でも安定収入が可能。
- 賃料が安定しやすい長期契約が多い。
観光地(リゾートエリア)
- 民泊・ホテル・別荘型施設への投資が有効。
- 観光需要に左右されるため、収益性は変動しやすい。
土地・駐車場(都市・郊外問わず)
- 賃貸運営コストが低く、節税にも有効だが、収益性はやや低い。
- 将来の開発を見込んで購入するケースが多い。
4.投資対象としてのポイント整理
・都市の中心地ほど価格が高く収益率が低め、地方ほど価格が安く利回りは高い傾向。
・人口動態、立地特性、テナント・居住ニーズなどを考慮し、資産価値の安定性と流動性をバランスよく考えることが重要。
・初心者向き:近郊住宅地(マンション・戸建て)や都心区分所有(マンション)。
・経験者・法人向き:オフィスビル・商業ビル・物流施設。
・ハイリスク・ハイリターン型:地方山村エリアの民泊・太陽光施設。
第5章 まとめ・不動産投資チェックリスト
以下に、「不動産投資を行う際のチェックリスト」を体系的に構成します。これまでの章でどのような商品があるか、その特徴を述べて参りましたが、具体的な商品を見ることが不動産投資の第一歩です。自分にあった商品を探すために、まずはチェックリストをもとに自分の希望を整理したうえで、具体的な物件を調べてみて下さい。
不動産投資について調査を重ねるなかでより具体的な希望条件が明確になれば、実際の物件がその希望条件にどの程度合致するかを判断することができます。そのような手順を進めるうえで、具体的なかつ実用的なチェック項目をまとめました。不動産は同じ物件は2つとないため、個々のチェックリストが全体的に関連し、最終的な価格や収益に影響してきます。
網羅的な項目を挙げていますので、初心者には不明な項目があるかもしれませんので、それらはブランクでも大丈夫です。ご自身の希望条件に合致した投資物件をいくつか見つけることができれば、一定の相場観のようなものを掴むことができます。これはこういう部分があるから安いのか、あれはああいう部分が魅力的なので高めなのか、などのご自身なりの判断ができるようなればもう不動産投資家です。
1.不動産投資チェックリスト・フローチャート
以下の順序でチェックを進めていきましょう。
✅ STEP1【投資目的の明確化】
- 投資目的を設定(インカムゲイン、キャピタルゲイン、節税・相続対策など)
- 投資期間の設定(短期・中期・長期)
- 投資許容リスク(安定重視 or 高利回り重視)
- 投資予算(自己資金・借入可能額)
✅ STEP2【物件種類・権利形態の選定】
- 投資金額に適した物件種類を選定(小口化商品・区分所有・1棟所有・底地等)
- 投資目的に適合する物件種別(居住用・商業用・事務所用・ホテル・物流施設等)
- 権利形態(所有権・借地権・底地・区分所有)を明確化
✅ STEP3【エリア・立地の選定】
- 地域区分を明確化(都心・近郊・地方都市・郊外等)
- 立地特性チェック(交通利便性・人口動態・商圏人口・行政施策)
- 周辺環境チェック(競合物件・嫌悪施設・将来の再開発計画の有無など)
✅ STEP4【物件現地調査・物理的確認】
- 築年数・構造(RC・鉄骨・木造など)
- 建物の状態(劣化・修繕履歴・リノベーション有無)
- 設備状況(水回り・空調・エレベーター・防犯・防災設備など)
- 耐震性のチェック(新耐震・旧耐震、耐震診断・補強有無)
- アスベスト(石綿)調査済みの有無(石綿障害予防規則対応状況)
✅ STEP5【収益性分析】
- 表面利回り(年間賃料 ÷ 購入価格)
- 実質利回り(実際の諸経費を差し引いた実質収入ベースで計算)
- 周辺の賃貸相場との比較(割高・割安を把握)
- 空室率のチェック(現状および周辺の稼働率)
- 収支シミュレーション(キャッシュフローの安定性を精査)
- 将来の家賃下落・経年劣化・修繕費用上昇リスクの検討
✅ STEP6【法務・権利関係の確認】
- 登記簿謄本確認(所有者・抵当権・借地権の権利関係)
- 法令制限チェック(用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限)
- 契約関係書類(賃貸借契約書・管理委託契約書)の内容確認
- 借地権物件・底地の場合の地主・借地人との関係性確認
✅ STEP7【資金調達・融資の検討】
- 金融機関の融資評価額(融資可能額・金利・融資期間・担保条件)
- 自己資金と融資のバランス(無理のない返済計画かどうか)
- 借入に伴うリスク(返済計画、金利変動リスク、繰上げ返済条件)
✅ STEP8【管理運営体制の確認】
- 管理会社の有無・管理手数料
- 管理会社の実績・信用・対応力
- テナント対応(募集・クレーム対応)の仕組み確認
- 維持管理・修繕計画の体制(長期修繕計画有無)
✅ STEP9【出口戦略(売却時)の確認】
- 売却可能性・流動性の高さの確認(将来的な換金性)
- 近隣エリアの過去売却事例確認(価格推移)
- 売却タイミングの想定・投資期間の再確認
✅ STEP10【総合的な最終投資判断】
- 投資目的に対する物件の総合評価
- 投資リスクとリターンのバランス評価
- 投資判断に関する第三者専門家(税理士・不動産鑑定士・建築士)の意見・助言を得る
2.フローチャートで整理する不動産投資プロセス
投資目的・予算設定
⬇️
物件種類・権利選定
⬇️
エリア・立地選定
⬇️
市場調査・物件情報確認
⬇️
現地調査・物件状況確認
⬇️
収益性分析
⬇️
法務・権利関係確認
⬇️
資金調達・融資検討
⬇️
管理運営体制確認
⬇️
出口戦略検討
⬇️
総合的な最終投資判断
3.このチェックリストの活用方法
- ・各項目を順番に確認することで、体系的で網羅的な投資判断を行えます。
- ・判断に迷った場合、各項目のチェックを再度振り返り、専門家への相談を挟むことも有効です。
- ・実際の投資判断の際に、チェック項目を印刷・整理して、物件ごとに客観的評価を行いましょう。
4.補足:不動産投資で忘れがちな注意事項
- ・景気変動や市場動向を考慮した保守的な収支予測を立てること。
- ・税務・法務・建築の専門家との連携によって投資リスクを低減すること。
- ・不動産市場や関連法令・税制改正の最新情報を定期的に確認し、常に情報アップデートを怠らないこと。
以上のチェックリストを活用し、体系的で精度の高い不動産投資判断を行うことができます。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
代表取締役
羽部 浩志
1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる
1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる
2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り
2025年12月8日執筆