中型オフィスビルのリノベーション会社選び|工事会社選定で確認したいポイント
築古の中型オフィスビルをリノベーションする際は、工事内容だけでなく、依頼する会社選びも重要です。同じ工事でも、会社によって得意な工事や対応できる範囲、見積もりの内容は異なります。価格だけで決めず、工事の目的や建物の規模に合った会社を選ぶことがポイントです。
本コラムでは、リノベーション会社の種類や比較する際の確認事項、見積もりの見方を解説します。
- どんな人向け?
- 中型オフィスビルのリノベーションを検討しているオーナー
- どのような工事会社へ相談すればよいか迷っている方
- 複数の工事会社を比較するときのポイントを知りたい方
- 本コラムのポイント
- リノベーション会社の種類と特徴
- 工事会社を選ぶ際に確認したいこと
- 見積もりを比較するときのポイント
- 結論
リノベーション会社は、見積金額だけで選ぶのではなく、同じような建物の工事実績や提案内容、工事中の対応まで確認することが重要です。まずは何のためにリノベーションするのかを整理し、その工事に合った会社を選びます。
リノベーション会社を選ぶ前に工事の目的を整理する
工事会社を探す前に、まず何を改善するためのリノベーションなのかを整理します。
例えば、同じ築古ビルでも工事の目的によって依頼内容は変わります。
| 工事の目的 | 主な工事箇所 |
|---|---|
| 建物の印象を変える | エントランス、外観、共用部など |
| 貸室を使いやすくする | 貸室内、照明、床など |
| 設備を見直す | 空調、電気、給排水設備など |
| 空室対策を行う | 貸室、エントランス、共用部など |
目的が決まっていない状態で相談すると、必要以上に工事範囲が広がったり、工事会社ごとに提案内容が大きく異なったりすることがあります。最初に「どこを変えたいか」だけでなく「なぜ変えたいか」まで整理しておくことが大切です。
リノベーションの進め方や費用、設計の考え方については、以下のコラムでも詳しく解説しています。
あわせて読みたい:[ オフィスリノベーションのポイント6選|空室対策・費用・設計の考え方を解説 ]
リノベーション会社にはそれぞれ得意分野がある
リノベーションを依頼できる会社には、設計会社や工事会社、内装会社などがあります。会社の種類だけで決めるのではなく、予定している工事に対応できるかを確認します。
| 会社 | 主な特徴 |
|---|---|
| 設計会社 | 建物全体の計画やデザインから相談できる |
| 総合建設会社 | 建築・設備を含む比較的大きな工事に対応しやすい |
| 工務店・工事会社 | 修繕や部分的な改修を得意とする会社が多い |
| 内装会社 | 貸室やエントランスなどの内装工事が中心 |
例えば、貸室の内装だけを変更する場合と、エントランスや空調設備まで含めて建物全体を改修する場合では、必要な対応範囲が異なります。会社の規模ではなく、予定している工事と得意分野が合っているかを確認します。
工事会社を選ぶ際に確認したい5つのポイント
候補となる工事会社が決まったら、見積金額以外の部分も比較します。
【工事会社の確認ポイント】
- 同じような建物の工事実績があるか
- 希望する工事内容に対応できるか
- 見積もりの内容が分かりやすいか
- 工事中の連絡や対応方法が決まっているか
- 完成後の不具合に対応してもらえるか
特に確認したいのが、中型オフィスビルや築古ビルでの工事実績です。
オフィスビルでは、入居中のテナントへの配慮や工事時間の制限、設備停止の調整などが必要になる場合があります。
そのため、工事実績を見る際は件数だけでなく、自社ビルと近い規模・築年数・工事内容の実績があるかまで確認します。
見積もりは金額だけで比較しない
複数社から見積もりを取る場合、総額だけを比較すると工事内容の違いを見落とすことがあります。
同じ「エントランス改修」でも、会社によって見積もりに含まれる工事や使用する材料が異なることがあるためです。
見積もりでは、次の項目を確認します。
- 工事範囲が明記されているか
- 材料や設備の仕様が分かるか
- 仮設工事や撤去費が含まれているか
- 見積もりに含まれない工事があるか
- 追加費用が発生する可能性が説明されているか
金額に差がある場合は、まず「なぜ違うのか」を確認します。
安い見積もりを選ぶこと自体が問題なのではありません。必要な工事が含まれているかを確認したうえで比較することが重要です。
工事中の対応も事前に確認する
オフィスビルのリノベーションでは、工事内容によってテナントへの影響が出ることがあります。
例えば、騒音や振動が発生する工事、共用部を使用する工事、設備を一時停止する工事などです。
そのため、契約前に次の点も確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 工事時間 | 平日・休日のどの時間帯に施工するか |
| テナントへの影響 | 騒音や設備停止が発生するか |
| 連絡方法 | 工事中の窓口や報告方法 |
| 工程 | いつ、どの場所を施工するか |
入居中のビルでは、工事そのものだけでなく、テナントへの影響を考えた工程を組めるかも会社選びのポイントです。
依頼前に工事会社へ伝えておきたいこと
工事会社から具体的な提案を受けるためには、オーナー側からも建物の情報や希望を伝えます。
特に整理しておきたいのは、次の内容です。
- リノベーションの目的
- 希望する工事箇所
- おおよその予算
- 希望する工事時期
- 入居中のテナントの有無
- 今後予定している修繕や設備更新
例えば、数年以内に空調更新を予定している場合は、その情報を伝えることで、今回の内装工事とどのように調整するか検討できます。工事会社にすべて任せるのではなく、建物の状況や今後の予定を共有したうえで提案を受けることが重要です。
築古ビルの修繕では、必要な工事を整理し、優先順位をつけて進めることも重要です。
あわせて読みたい:[ 築古オフィスビルの修繕費を抑えるには?工事の優先順位と費用の考え方 ]
まとめ|工事内容に合った会社を選ぶ
中型オフィスビルのリノベーションでは、会社名や見積金額だけで依頼先を決めず、工事内容との相性を確認します。
特に確認したいのは次の3点です。
- 予定している工事に近い実績があるか
- 見積もりの工事範囲や費用が分かりやすいか
- 工事中から完成後までの対応を確認できるか
大規模なリノベーションと部分的な改修では、適した会社も異なります。
まずは工事の目的と範囲を整理し、その内容に対応できる会社を比較することが、工事会社選びの基本です。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
プロパティマネジメントチーム
藤岡 涼
入社以来20年以上にわたり、東京23区のオフィスビルを中心にプロパティマネジメント・リーシング・建物管理を担当。
年間多数の交渉やトラブル対応経験を活かし、現場目線に立った迅速かつ的確な提案を通じて、オーナー様とテナント様双方の満足度向上に努めています。
2025年8月27日執筆