選ばれる築古オフィスビルとは?|テナントが確認するポイントと改善方法
築年数が経過したオフィスビルでも、立地や賃料だけで入居先が決まるわけではありません。テナントは物件を比較する際、貸室の使いやすさや設備、共用部の状態、管理状況なども確認します。空室が続いている場合は、築年数だけを理由にせず、テナントが物件のどこを見ているのかを把握したうえで改善することが重要です。
本コラムでは、築古オフィスビルのオーナー向けに、テナントが確認するポイントと、空室対策として見直したい箇所を解説します。
- どんな人向け?
- 築20年以上のオフィスビルを所有しているオーナー
- 空室が続き、原因を確認したい方
- 設備更新やリノベーションを検討している方
- 本コラムのポイント
- 築古ビルが入居先として選ばれにくい理由
- テナントが物件を比較するときに確認するポイント
- 建物の状態に合わせた改善方法
- 結論
築年数そのものは変えられませんが、設備や共用部、貸室、管理状態は改善できます。すべてを新しくするのではなく、テナントが感じている使いにくさや不安につながる箇所から見直すことが重要です。
築古オフィスビルが選ばれにくい理由
築古オフィスビルでは、建物の古さより、築年数の経過で設備や使い勝手が現在のニーズに合っていないことが課題です。
たとえば、築年数が同じ物件でも設備更新や共用部の改修が行われているビルと、建築当時の状態が多く残っているビルでは内見時の印象が異なります。
確認したいのは、次のようなポイントです。
| 項目 | 築古ビルで確認したいこと |
|---|---|
| 共用部 | エントランスや廊下に汚れ・傷みがないか |
| 水回り | トイレや給湯室に古さや使いにくさがないか |
| 空調 | 温度調整や運転時間に制限がないか |
| 貸室 | 柱や天井、間取りがレイアウトの妨げにならないか |
| セキュリティ | 入退室管理など必要な設備が整っているか |
| 管理 | 清掃や設備点検が適切に行われているか |
空室が続いている場合は「築古だから仕方がない」と考える前に、物件ごとの課題を整理することが必要です。
テナントが築古ビルで確認する5つのポイント
1.エントランス・共用部の状態
エントランスや廊下は、内見時に貸室より先に目に入る場所です。
床や壁の汚れ、暗い照明、掲示物の乱れなどがあると、建物全体の管理状態にも不安を持たれることがあります。
大規模な改修を行わなくても、清掃や照明の変更、掲示物の整理などで改善できる箇所もあります。まずは現在の状態を確認し、必要な対応を整理します。
2.トイレ・水回りの使いやすさ
トイレや給湯室は、日常的に使用する場所です。
設備の新しさだけでなく、清潔感や照明、洗面台、男女別トイレの有無なども確認されます。
特に貸室内を改修している場合、共用部との状態に差があると古さが目立ちます。貸室だけでなく、テナントが日常的に利用する場所まで含めて確認することが大切です。
3.空調・電気・通信などの設備
オフィスでは、見た目だけでなく設備の使いやすさも重要です。
- 空調の方式や運転時間
- 電気容量
- コンセントの位置や数
- 通信回線
- 照明
- 入退室管理
こうした設備は業務環境に直接関わります。
内装がきれいでも、空調や電気容量などに制限があれば、テナントの利用方法と合わない場合があります。設備の更新状況や使用条件を把握し、募集時に説明できる状態にしておくことも必要です。
4.貸室のレイアウト
築古ビルでは、柱の位置や天井高、間取りによってレイアウトが制限されることがあります。
建物の構造上、変更できない部分もありますが、間仕切りを減らしたり、照明や内装を見直したりすることで使いやすくできる場合があります。
また、募集時にレイアウト例を用意しておけば、実際にデスクや会議室をどのように配置できるのかをテナントがイメージしやすくなります。
5.日常の管理状態
建物の印象は、リノベーションだけで決まるものではありません。
エントランスが改修されていても、廊下に汚れがある、照明が切れている、設備の不具合が放置されているといった状態では、管理面への不安につながります。
そのため、改修とあわせて次のことも確認します。
- 清掃状況
- 設備点検
- 不具合への対応
- 共用部の整理
- テナントからの問い合わせ対応
建物を良い状態に保つには、改修後の日常管理まで含めて考えることが重要です。
築古ビルはどこから改善する?
築古ビルだからといって、すべての設備や内装を一度に更新する必要はありません。
まずは、空室の原因がどこにあるのかを確認します。
- 問い合わせ自体が少ない:賃料や募集条件、物件情報の伝え方を見直す
- 内見後に見送られるケースが続く:建物や貸室に使いにくい箇所がないかを確認
そのうえで、現在の募集状況と建物の状態を照らし合わせて、見直す箇所の優先順位を決めます。
| 状況 | 検討したい対応 |
|---|---|
| エントランスが暗い・古い | 照明、床・壁、サインなどの見直し |
| トイレの古さが目立つ | 設備、照明、床・壁などの改修 |
| 空調に不具合がある | 補修・更新時期の確認 |
| 貸室が使いにくい | 内装やレイアウトの見直し |
| 建物全体の印象が悪い | 清掃・管理状況の改善 |
費用をかければよいわけではありません。テナント募集で改善が必要な箇所と、建物の維持に必要な工事を整理し、優先度の高い箇所から進めることが基本です。
大規模な改修を検討する場合は、工事費だけでなく、改修後に想定する賃料や稼働率、今後の修繕費まで含めて判断します。
まとめ|築年数ではなく建物の状態を見直す
築古オフィスビルでは、築年数だけでなく、設備や共用部、貸室、日常の管理状態にも目を向けることが重要です。
空室が続いている場合は、すぐに賃料を下げたり大規模な改修を行ったりするのではなく、問い合わせや内見の状況を確認し、入居につながらない理由を整理します。
そのうえで、設備更新や共用部の改修、清掃・管理方法の見直しなど現在のビルに必要な対策を選びます。
築古ビルの空室対策では、古さをすべて隠すのではなくテナントが感じる使いにくさや不安を一つずつ減らしていくことが重要です。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
プロパティマネジメントチーム
藤岡 涼
入社以来20年以上にわたり、東京23区のオフィスビルを中心にプロパティマネジメント・リーシング・建物管理を担当。
年間多数の交渉やトラブル対応経験を活かし、現場目線に立った迅速かつ的確な提案を通じて、オーナー様とテナント様双方の満足度向上に努めています。
2025年12月4日執筆