賃貸管理会社とは?業務内容とオーナーが知っておくべきポイントを解説
皆さん、こんにちは。
株式会社スペースライブラリの藤岡です。
この記事は「賃貸管理会社とは?業務内容とオーナーが知っておくべきポイントを解説」のタイトルで、2025年10月24日に執筆しています。
少しでも、皆様のお役に立てる記事にできればと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
はじめに
東京23区の中小型オフィスビル市場は、日本経済の中枢を担うビジネスの集積地です。その賃貸管理は単なる家賃集金や設備点検に留まらず、不動産価値の最大化と安定運用を目指す高度な専門業務となっています。オフィスビルのオーナーにとって、優れた賃貸管理会社は頼れるパートナーであり、空室リスクの低減やテナント満足度の向上に直結します。本稿では、プロパティマネジメント(PM)、リーシングマネジメント(LM)、ビルマネジメント(BM)を軸に、東京23区の中小型オフィスビルに特化した賃貸管理業務の内容と重要性を専門的かつ論理的に解説します。そして、市場動向を踏まえつつ、当社が培ってきた独自の戦略と強みをご紹介し、中小型オフィスビル管理の最適解について考察します。
賃貸管理会社の業務内容(PM・LM・BMを中心に)
オフィスビルの賃貸管理業務は、大きくPM(プロパティマネジメント)、LM(リーシングマネジメント)、BM(ビルマネジメント)の3分野に分類できます。それぞれが連携し合うことで、ビルの収益最大化と資産価値維持を実現しています。以下ではPM・LM・BMそれぞれの役割と具体的な取り組みを見ていきましょう。
徹底した市場相場調査(PM業務の基盤)
PM業務の基盤としてまず重要なのが、賃料設定に向けた徹底した市場相場調査です。適切な募集賃料を設定することは空室期間の短縮と優良テナント確保の要であり、そのために管理会社は多角的な調査を行います。具体的には、周辺エリアで競合となり得るオフィス物件の賃料水準を把握すべく、元付け業者へのヒアリングを実施します。他社が管理・募集する近隣ビルの動向を電話や訪問で確認し、現在の成約賃料や募集状況について生の情報を収集します。また、オーナーの収支計画上許容できる下限賃料の確認も重要です。市場相場とオーナー希望との擦り合わせを行い、最低ラインと目標ラインを明確化します。さらに、物件の魅力や間取りを正しく伝えるためにA3サイズの詳細なフロア図面を取得し、各区画のレイアウト・仕様を把握します。そして必ず現地調査を徹底し、ビルの立地環境や外観の印象、共用部の状態などを自らの目で確認します。これら丹念な調査によって得られたデータと知見を基に、机上の計算ではなく現実的かつ最適な賃料設定を導き出すのです。例えば周辺相場が坪当たり2万円台であれば、その範囲内でビルのグレードや築年、設備内容を考慮して適正な水準を算定します。利回りなどオーナー側の希望だけに囚われず、市場に受け入れられる賃料を提示することが、結果的に早期満室と安定経営に繋がります。
効果的なリーシング活動(LM業務)
リーシングマネジメント(LM)は、空室を埋めるためのテナント誘致活動全般を指します。中小型オフィスビルとはいえ、東京23区の競争市場においては戦略的かつ継続的なリーシングが不可欠です。まず、募集条件の定期的な見直しを行います。募集開始時に設定した賃料・共益費・フリーレント等の条件について、問い合わせ件数や内見した潜在テナントの感想を踏まえ、適宜テコ入れを図ります。このように問い合わせ数・内見後のフィードバックを活かして募集戦略を練り直すことで、無風状態を防ぎます。
さらに、大手仲介会社や地域の不動産仲介業者との良好な関係構築もリーシング成功の鍵です。当社では主要な仲介会社との定期情報交換会(定例会)を月次などで開催し、自社管理物件の最新空室情報やセールスポイントを直接共有しています。こうした取り組みにより仲介業者との強固なパートナーシップを築き、彼らのネットワークを通じた多角的なアプローチが可能になります。実際、仲介各社に物件の魅力を正しく伝えることで信頼関係が深まり、結果として多数のテナント候補からの引き合いや成約に結びついています。
また、中小型ビルの場合、一社あたりの賃貸面積はそれほど大きくないとはいえ、複数区画を同時に募集するケースもあります。その際は、テナントミックス(入居者構成)のバランスにも目配りします。同業種ばかりが集中しないように調整するなど、ビル全体の競争力や魅力を高める視点で募集活動を進めます。こうしたLM業務を通じ、単なる空室埋めではなく「ビルにとって質の高いテナント」を迅速に確保することが賃貸管理会社の使命です。
テナントに評価されるビル管理(BM業務)
ビルマネジメント(BM)は建物そのものの維持管理業務であり、テナント満足度を左右する重要なポイントです。いかに優良テナントを誘致しても、ビルの管理状態が悪ければ定着せず早期解約や評判悪化を招きかねません。そこで当社では清掃・設備管理においてテナントに評価される水準のサービス提供を徹底しています。
日常清掃ではエントランスやエレベーター内、共用トイレといった利用頻度の高い箇所を重点的に行い、常に清潔さを保ちます。床のゴミ一つ見逃さず、指紋やホコリでガラス面が曇ることのないよう細部まで気を配ります。定期清掃では床面ワックスがけやカーペットクリーニング、空調フィルター清掃など専門業者と連携して計画的に実施し、美観と衛生を維持します。設備面では法定点検や定期メンテナンスを欠かさず行い、エレベーター・空調・給排水・防災設備などの不具合を未然に防ぎます。万一トラブルが発生した場合も24時間体制で迅速に対応し、テナントの業務への影響を最小限に留めます。
これらBM業務の質はテナントから直接評価される部分です。「いつ来ても共用部が綺麗で気持ちいい」「設備トラブル時の対応が早く信頼できる」といった声を頂戴することも多く、こうした高評価がテナントの長期入居や契約更新増額にも繋がっています。実際、当社が管理するあるビルでは、退去が決まったテナント企業様から「別の自社管理ビルに空室はないか」と問い合わせを受け、新たな移転先として引き続き当社管理物件を選んでいただいたケースもあります。これは当社のビル管理品質にご満足いただけた何よりの証と言えるでしょう。賃貸管理会社にとってBM業務は地味ながらも、テナントの安心・安全・快適なオフィス環境を支える縁の下の力持ち的存在であり、PM・LMを支える基盤として極めて重要です。
オフィス市場の推移とトレンド
オフィス賃貸管理を語る上では、市場環境の変化に触れることが欠かせません。ここではコロナ禍前後から現在に至るまでの東京オフィス市場の推移と、最新トレンドについて整理します。
コロナ禍以前:空前の好況と低空室率
新型コロナウイルス感染症の流行以前、東京23区のオフィス市場は長期的な好況期にありました。特に2010年代後半は企業業績の拡大に伴いオフィス需要が旺盛で、都心部では空室がほとんど出ない状態が続いていました。実際、景気拡張局面が始まった2012年度以降、東京都内のオフィス空室率は一貫して低下傾向を辿り、2020年2月には1.49%という極めて低い水準まで下がりました。空室率1〜2%台という状況下では、募集を出せば即テナントが決まる「貸手市場」であり、賃料も緩やかに上昇を続けていたのです。また、この時期は大企業による大規模増床や、本社移転ニーズが高く、中小型ビルのオーナーにとっても好景気の追い風が吹いていました。
コロナ禍による需要減退と空室率急上昇
しかし2020年初頭からのコロナ禍は、この状況を一変させました。リモートワーク(在宅勤務)の急速な普及により、多くの企業がオフィス縮小や解約を進めたため、東京のオフィス空室率は急上昇に転じます。先述のように2020年2月に1.49%だった空室率は、その後10か月連続で上昇し、同年12月には4.49%と5年ぶりの高水準に達しました。ほんの一年足らずで空室率が3ポイントも跳ね上がったことになります。この間、大企業を中心に「オフィス面積の見直し」が相次ぎました。例えば大手住宅設備メーカーは、江東区にあった自社ビル本社を売却し、大幅に面積を縮小した上で他所の賃貸オフィスビルへ本社機能を移転する決定をしています。こうした動きは他の大企業にも広がり、コロナ禍においてオフィス需要の縮小が顕著となりました。
空室率はその後も上昇傾向が続き、2021年にはピークに達します。東京主要7区(千代田・中央・港・新宿・渋谷・品川・江東区)の大型ビル空室率を見ると、2021年末時点で平均6.58%、都心5区平均でも6.40%に達しました。中小型ビルでも一時的にフロアの空きが目立つ状況となり、賃貸市場は明らかに「借手市場」に様変わりしました。賃料も弱含みとなり、募集条件にフリーレント数ヶ月を付与するケースや、仲介会社への紹介手数料を上乗せして早期成約を図るケースが増えたのもこの時期です。賃貸管理会社にとっても、従来とは異なる発想と努力で空室対策に臨むことが求められました。
現在の回復基調とハイブリッドワークの定着
2025年現在、東京23区のオフィス市場は回復基調にあるものの、依然として空室率はやや高めの水準で推移しています。特に、東京主要5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル空室率は、2024年12月末時点で4.56%となっています。一時的な需要減退を経て回復傾向にあるものの、過去最大規模の大規模再開発が2025年中に集中して竣工するため、短期的には空室率がさらに上昇する可能性も指摘されています。
一方で、賃料水準については底堅さを見せており、同時点(2024年12月末)における主要5区の平均募集賃料は坪あたり31,738円で推移しています。空室率の増加はあるものの、築浅や設備グレードが高いオフィスに対する需要は堅調であり、優良ビルにおいては賃料を維持または若干引き上げるケースも見られます。
また、オフィス需要を大きく変化させた「ハイブリッドワーク(在宅と出社の組み合わせ)」は定着しており、特に東京の大企業では週に数日間の在宅勤務を継続するケースが主流になりました。その結果、必要とするオフィス面積が以前よりコンパクト化される傾向にあり、都心のオフィスを縮小する代わりに複数拠点を活用する企業も増えています。ただし、完全なオフィス撤退よりも「出社が生む価値」の再評価が進んでおり、適正規模のオフィス需要が安定して存在しています。
賃貸管理会社としては、こうした市場環境を的確に捉え、賃料戦略やリーシング活動に柔軟に反映させる必要があります。当社でも最新の空室率や募集賃料のトレンドを継続的にモニタリングし、オーナー様に最適なアドバイスを提供しています。
サブリースのメリットと一般管理との違い
オフィスビルの賃貸運営方式として、サブリース(一括借上げ)契約は有力な選択肢の一つです。サブリースとは、賃貸管理会社(サブリース会社)がビル一棟または複数区画を一括で借り上げ、オーナーに一定の賃料を保証するとともに、自社が転貸人となってテナントに又貸しする仕組みです。オーナーから見れば、借上げ業者(サブリース会社)とマスターリース契約を締結することで、自身は実質的にサブリース会社にビルを貸し、そのサブリース会社がテナントに再度賃貸する形になります。
サブリースのメリット(オフィスの場合)
サブリース契約の最大のメリットは、空室リスクの低減と安定収益の確保にあります。賃料保証型のサブリース契約であれば、たとえ一時的に空室が発生してもオーナーへの支払い賃料は契約で定めた一定額が保証されます。オーナーにとって毎月の家賃収入が天候に左右されない固定収入となる点は大きな安心材料です。空室が出るたびに次のテナントを探せるかと一喜一憂する必要がなく、長期的な資金計画を立てやすくなります。
次に、賃貸管理の手間から解放されることも大きな利点です。テナント募集や内見対応、賃料回収、クレーム対応、契約更新・解約手続きといった日常の管理業務をすべてサブリース会社が代行します。オーナー自身は煩雑な実務から解放され、本業に専念したり別の投資検討に時間を充てることができます。特に複数のテナントを抱えるオフィスビルでは、こうした実務負担は無視できないため、管理を一元化できるメリットは大きいでしょう。
さらに、サブリース会社は高い入居率を維持するインセンティブを持っています。空室が埋まらなければサブリース会社の利益も出ないため、テナント誘致やサービス改善に積極的に取り組みます。日頃からきめ細かなビル管理やオーナーへの改善提案を行い、物件競争力を高める努力を惜しみません。その結果、建物の資産価値維持にもつながるケースが多々あります。例えば老朽化した共用部のリニューアル提案や、空室期間中の一時的な活用策(ショールームやギャラリーとしての貸出等)の提案など、サブリース会社が主体的に動いてくれるため、オーナーにとっては心強いパートナーとなります。
一般的な管理委託との比較と留意点
一方、従来型の一般的な賃貸管理(管理委託契約)では、オーナーと管理会社の関係はあくまで「管理業務の代行」に留まります。管理会社は空室時の家賃補填は行わず、入居者から徴収した家賃の数%を管理手数料として受け取ります。そのため、空室リスクや賃料減額リスクは全面的にオーナーが負うことになります。極端に言えば、空室が出ても管理会社の収入(管理料)は減るわけではないため、サブリース会社ほどの強い動機をもって入居付けに取り組まないケースもあり得ます(もちろん実際には評判がありますから努力はしますが、その切実さの度合いが異なるという意味です)。サブリース契約下では管理会社自身が借主として賃料支払い義務を負うため、自社の損益に直結します。したがって、テナント募集力や募集スピードにおいて、サブリース方式の方が一歩勝る傾向があります。
もっとも、サブリースにはいくつか留意すべき点も存在します。第一に収入の目減りです。サブリース会社は転貸利益を得るために、オーナーへの保証賃料を実勢より低く設定します。オーナーが自主管理するよりも手取り賃料は下がるのが一般的で、空室リスクという「保険料」と考える必要があります 。第二に、賃料水準の見直しです。保証されるのは毎月の支払いであって契約当初の賃料水準が永続するわけではありません 。景気変動や周辺相場の下落、建物の陳腐化などにより、サブリース会社から保証賃料の引き下げ要請が来る可能性があります。現に、かつてサブリース契約時に聞いていた額よりも大幅に賃料を下げられたという住宅分野でのトラブルが社会問題化し、2020年にはサブリース契約に関する説明義務等を定めた新法が施行されています 。幸いオフィス分野では悪質なケースは少なく、賃料改定も市場動向に即した妥当な範囲で行われるのが通常ですが、ゼロではない点は理解しておきましょう。
第三に、テナント選定への関与度です。サブリース契約下ではテナントとの契約主体はサブリース会社となるため、オーナーはテナント選定に直接関与しにくくなります。基本的に信頼できるサブリース会社であれば心配無用ですが、自分のビルにどんな企業が入居するかはやはり気になるものです。契約前に「反社会的勢力は入居させない」「業種は要事前承諾」等の取り決めを盛り込むことで、オーナーの意向をある程度反映させることも可能です。
以上を踏まえると、サブリースは「収益の安定性」と「業務の省力化」を得る代わりに、「収益の一部を手放し」「直接コントロールを譲る」仕組みと言えます。住居系サブリースでは一部で不適切な契約が問題視されましたが、オフィス系では信頼できる賃貸管理会社と組むことで最適解となり得ます。中小型オフィスビルオーナーにとって、テナント募集力や管理ノウハウに長けたプロに丸ごと任せられる安心感は何物にも代え難く、当社でもサブリース方式を選択されるオーナー様が増えています。もちろん従来型の一般管理にも利点はありますが、空室リスクをとことん減らし安定運用を図りたい場合、サブリースは有力な選択肢となるでしょう。
賃料設定の論理と当社の強み
賃貸管理業務において、適切な賃料設定は常に最大のテーマです。オフィスビル経営の収支を左右する賃料は、高すぎれば空室期間が延び、低すぎれば収益機会を逸します。その微妙なさじ加減を見極めるには、前述した徹底した市場調査と経験知にもとづく論理的判断が不可欠です。当社は創業以来、一貫して「机上の利回り計算よりも現場の相場感覚」を重視し、時間と労力を惜しまず最適賃料の査定に努めてきました。
市場相場を重視した王道の賃貸戦略
不動産オーナーの中には、購入時の投資利回りやローン返済計画から逆算して希望賃料を設定される方もいらっしゃいます。確かに収支計画上は重要な視点ですが、市場実勢とかけ離れた賃料ではテナント付けは困難です。例えば「このビルは利回り○%確保のため坪3万円で貸したい」と考えても、周辺相場が2万円台前半であればまず決まりません。私たちはそうした場合でも感覚的に値下げするのではなく、現実のテナント需要が見込めるラインをデータに基づき算出し、オーナー様と丁寧に協議します。「近隣の同規模ビルAは最近坪2.2万円で契約が決まった」「ビルBは2ヶ月フリーレント付き坪2.4万円で募集継続中」といった具体例を示しつつ、ターゲットとするテナント像に響く適切な賃料帯を提案します。利回りありきで強引に高止まりさせるのではなく、まずは成約に至る適正賃料で着実に埋めることを優先するのが当社のポリシーです。
さらに当社は、安易にフリーレント(一定期間賃料無料)や過剰な広告料(謝礼金)に頼らない「王道の賃貸戦略」を貫いています。昨今、空室が長引くと数ヶ月分のフリーレントを付与したり、仲介会社への手数料を通常1ヶ月のところ2ヶ月・3ヶ月相当支払うといった条件を提示するケースもあります。短期的にはそれで決まるかもしれませんが、フリーレント期間分は実質賃料の値引きであり、トータル収入を減らします。また高額な広告料ばかりに頼ると、物件力そのものを高める本質的な努力(賃料見直しや内装改善など)が後手に回りがちです。当社では、まず物件の適正価値に見合う賃料設定と質の高いテナント誘致によって正攻法で勝負し、それでも難航する場合に初めてインセンティブ策としてフリーレント等を検討します。闇雲に「○ヶ月無料」を乱発しない分、入居後のキャッシュフローが読め、オーナー様の長期収支計画にも好影響を与えます。
綿密な近隣調査とテナント質重視の提案
賃料設定における当社の強みの一つが、現地目線の綿密な近隣調査です。前述の通り募集前には必ず周辺ビルの賃料や募集状況を洗い出しますが、それにとどまらず実際に近隣を歩いて雰囲気を掴み、「このエリアならこの業種が多い」「駅からの導線でここがネックになる」等の感覚的な情報も蓄積します。場合によっては近隣のビル管理人や仲介店舗に話を聞き、地域ならではの需要動向を探ることもあります。こうした生のマーケット感覚を大事にしているため、「相場●円だから●円でよいだろう」と機械的に決めることはしません。同じ賃料水準でも、競合ビルと比較して自社物件が優れている点・劣る点を洗い出し、足りない部分は他条件でカバーする提案も行います。例えばエレベーターが1基しかないビルであれば、その弱みを補うため共益費を低めに設定したり、逆に天井高や内装グレードで優るビルであれば多少強気の賃料でも埋まると判断する、といった具合です。
また、当社はテナントの質を重視したリーシングを実践しています。単に空室を埋めればよいと考えず、入居後に長期安定していただけるテナントか、ビルや周辺環境と調和した業種か、といった観点でテナント選別を行います。賃料交渉でも、値下げ要望に安易に応じるのではなく、テナントの信用力や将来性を見極めつつ総合的に判断します。「多少賃料を下げても優良企業に長く入ってもらうほうが結果的に得策」と考えればオーナー様にその旨提案しますし、「短命に終わりそうな先であれば条件を譲りすぎないほうが良い」と助言することもあります。オーナー様との戦略的相談を密に行い、目先の条件より中長期的な収益最大化を意識した合意形成を図るのが当社流です。こうして決定した募集条件は、単なる数字ではなく市場実態とオーナー方針を映し出したベストな落とし所となるため、テナントにも自信を持って提案できます。
以上のように、賃料設定ひとつ取っても緻密なロジックと現場主義で取り組むことが、当社の強みです。賃貸管理会社として、「適切な人に適切な賃料で適切な期間貸す」ことを追求し、その成果として高い入居率とオーナー様満足度を実現しています。
競合との差別化ポイント
東京23区には数多くの賃貸管理会社が存在しますが、その中で当社が選ばれ続けているのには明確な理由があります。最後に、当社の競合他社に対する差別化ポイントを整理します。
- ・専門性の高い人材と手厚い体制:当社はオフィス賃貸管理一筋に長年取り組んできたプロフェッショナル集団です。各ビルに専任の担当者を配置し、PM・LM・BMの各分野に精通したスタッフがチームを組んで管理に当たります。他社では担当者1人が多数の物件を掛け持ちしがちですが、当社は適正な担当物件数を維持し、きめ細かな対応を可能にしています。テナントからの問い合わせにも迅速に対応し、オーナー様からのご要望にも素早く対応策を講じるフットワークの良さがあります。
- ・サブリース物件・自社保有物件で培ったノウハウ:当社は管理受託物件だけでなく、自社で一括借上げ(サブリース)して運営している物件や、自社グループで保有するオフィスビルも手掛けています。自らリスクを負って運営する立場を経験しているからこそ、オーナー様の視点に立った経営感覚を持ち合わせています。「この条件で貸せば収支がどうなるか」「設備更新にどれだけコストを割くべきか」といった判断に実践知が反映されており、机上の理論ではないリアルな提案力が強みです。一般管理のみの会社にはないオーナー目線と借上げ事業者目線、その両方を持ち合わせている点が差別化ポイントです。
- ・半世紀にわたる社歴と信頼性:当社は創業から50年を超える歴史を有し、東京23区のオフィス賃貸市場の変遷を知り尽くしています。バブル経済期、リーマンショック、そしてコロナ禍と、幾多の景気変動を乗り越えてきた経験が蓄積されています。長年の実績は信頼の証であり、オーナー様・仲介会社様・テナント様から厚い信頼をいただいております。実際、「オフィスの賃貸管理といえば○○社さん(当社)」との評価を業界内で頂戴しており、それが優良な新規案件のご紹介やテナントご紹介にもつながる好循環を生んでいます。長期にわたり培った信用力は、新興の管理会社には真似できない当社の財産です。
- ・テナントとの良好な関係性:賃貸管理会社はオーナー側の代理人ではありますが、当社はテナント企業との関係構築も非常に重視しています。日々のコミュニケーションや迅速な対応によって信頼を得ているため、テナントから直接ご相談を受けることもしばしばです。「手狭になったので当社管理の他ビルへ増床移転したい」「別拠点開設の際も物件探しを手伝ってほしい」といった引き合いがあるのは、テナントから見ても当社の管理サービスに満足いただいている何よりの証拠でしょう。テナント満足度が高ければ契約更新率も上がり、結果的にオーナー様の利益にも直結します。清掃の行き届いた共用部や丁寧なビル管理についてテナントアンケートで高評価を得ており、「今後もこのビルに入居したい」「友人の会社にも紹介したい」といった声もいただいています。このようにオーナーとテナント双方から信頼される管理を実現している点が当社の誇りであり、他社との差別化要因となっています。
まとめ
東京23区の中小型オフィスビル賃貸管理は、高度な専門知識と綿密な現場対応力を要する分野です。PM・LM・BMそれぞれの業務が有機的に組み合わさることで、ビルの収益と価値が最大化されます。本稿では、その具体像として市場調査に基づく賃料設定、戦略的リーシング、テナント満足度を高めるビル管理の重要性を解説しました。また、コロナ禍を経たオフィス市場の変化に触れ、ハイブリッドワーク時代における賃貸管理会社の対応力が問われていることも述べました。
当社は賃貸管理会社として半世紀以上にわたり培ってきた知見と実績を活かし、オーナー様の大切な資産であるオフィスビルの価値向上に尽力しております。サブリース契約による安定収益のご提案から、一般管理におけるきめ細かな運営まで、オーナー様のニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能です。賃貸管理会社選びはビル経営の成否を左右すると言っても過言ではありません。当社の専門的アプローチと強みは、中小型オフィスビル管理において必ずやお役に立てるものと自負しております。
東京23区でオフィスビルをご所有のオーナー様にとって、当社の提案するPM・LM・BM一体となった包括的管理は、空室リスク低減と資産価値維持の最適解です。今後も市場動向を注視しつつ、オーナー様と二人三脚でビル経営を成功へ導く所存です。不透明な時代だからこそ、実績豊富な当社とともに安心・安定のオフィス賃貸経営を歩んでみませんか。ご相談はいつでも承っており、お問い合わせを心よりお待ちしております。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
プロパティマネジメントチーム
藤岡 涼
入社以来20年以上にわたり、東京23区のオフィスビルを中心にプロパティマネジメント・リーシング・建物管理を担当。
年間多数の交渉やトラブル対応経験を活かし、現場目線に立った迅速かつ的確な提案を通じて、オーナー様とテナント様双方の満足度向上に努めています。
2025年10月14日執筆