オフィスビルのトイレ設置・リフォーム費用はいくら?|テナント・共用部別に解説
皆さん、こんにちは。
株式会社スペースライブラリの鶴谷です。
この記事は「オフィスビルのトイレ設置・リフォーム費用はいくら?|テナント・共用部別に解説」についてまとめたもので、2026年4月13日に改訂しています。
少しでも皆様のお役に立てる記事にできればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
オフィス・テナントのトイレ設置・リフォーム費用の目安
オフィスやテナントのトイレ設置・リフォーム費用は、おおよそ以下が目安です。
- 20〜30万円/㎡
- 80〜120万円/台
例えば5台規模のトイレでは約400万〜600万円程度になるケースが一般的ですが、これはあくまで概算です。実際の費用は「配管の状態」「レイアウト変更の有無」「設備のグレード」によって大きく変わります。
トイレは、オフィスビルの印象や快適性を左右する重要な設備です。特に築古ビルでは、トイレの状態がテナント誘致に直結するケースも少なくありません。
一方で、オーナー様や管理担当者様からは「実際にどのくらい費用がかかるのか分からない」という声も多く聞かれます。
本記事では、オフィスビルにおけるトイレリフォームの費用相場の考え方に加え、施工事例や費用の内訳も交えながら、具体的に解説していきます。
トイレ設置・リフォームの概算費用を知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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第1章:オフィスのトイレ設置・リフォーム費用の相場
1-1.トイレリフォームにおける「相場」の捉え方
オフィスのトイレは、「設置」と「リフォーム」で費用の考え方が異なります。
既存トイレを改修する場合はリフォーム、新たに設ける場合は設置となり、それぞれ費用の構造が変わります。
オフィスの共用トイレをリフォームするのに、費用はいくらかかるのでしょうか。最初にリフォームの概要を掴みたいときに役立つのが、過去の実績や一般的にいわれる「相場」です。
しかし、リフォーム案件は建物の状況、設備のグレード、工事範囲、既存設備の老朽度合いなどによって大きく変動します。何もかもゼロから新設する場合と、部分的に入れ替えるだけで済む場合では、当然費用に大きな差が出てきます。そのため、相場はあくまで目安と捉え、実際には現地調査や詳細見積もりで最終的な工事費を確認することが重要です。
1-2.大まかな指標となる2つの考え方
オフィスビルのトイレリフォームに関する費用を大まかに把握する方法として、以下の2つの指標がよく用いられます。
- トイレの単位面積当たり単価
- 20~30万円/㎡(66~99万円/坪)
トイレの床面積がどれくらいかをベースにして見積もる方法です。床面積に合わせて、床・壁の内装材や配管・給排水工事に必要な費用などを大まかに算出します。オフィスビルであれば、小さく見ても1フロアあたり10㎡~20㎡程度のトイレスペースがあることが多いですから、その面積に上記の単価を乗じると、大まかな金額が導き出せます。
- 便器の台数当たりの単価
- 80~120万円/台
こちらは便器1台あたりを基準にして費用を算出する方式です。大便器3台・小便器2台で合計5台なら、80〜120万円×5台=約400万〜600万円ほどが目安になります。
この計算では、洗面台の数や内装工事の規模、給排水や電気工事などのセットを含めた金額がざっくりと含まれますが、実際にはグレード(自動洗浄タイプやセンサー付き水栓、ウォシュレット機能など)やレイアウト変更の有無によっても変わります。
第2章:テナントがトイレを設置する場合の費用
テナントでトイレを設置する場合、物件の状態や契約条件によって費用は大きく変わります。特に「スケルトン物件かどうか」「共用トイレの有無」が重要なポイントです。(※スケルトン物件=建物の骨組みだけが残された内装や設備のない状態の物件で、自由に内装や設備を設計できる賃貸物件)
ここでは代表的なケースごとに費用の目安を解説します。
- スケルトン物件でトイレを新設する場合
スケルトン物件では、給排水設備や内装がない状態からトイレを新設するため、費用は比較的高くなります。
目安としては以下の通りです。
・約500万〜800万円程度(5台規模の場合)
この費用には、以下の工事が含まれます。
・給排水配管工事
・電気工事
・便器・洗面台の設置
・内装工事(床・壁・天井)
特に配管の新設はコストへの影響が大きく、建物の構造によってはさらに費用が上がることもあります。
- 共用トイレがある場合(設置不要なケース)
オフィスビルでは、トイレが共用部として整備されているケースも多く、この場合はテナント側でトイレを設置する必要はありません。
そのため、以下の場合は共用トイレのある物件を選ぶのも一つの選択肢です。
・初期費用を抑えたい場合
・工事期間を短くしたい場合
- 専有部にトイレを設置する場合の注意点
既存のオフィス内に新たにトイレを設置する場合、以下の点に注意が必要です。
- 配管ルートの確保
排水には勾配が必要なため、設置場所によっては工事が難しくなる場合があります。
- 給排水設備の容量
既存設備の容量が不足していると、増設工事が必要になります。
- 原状回復義務
退去時に撤去が必要な契約の場合、将来的なコストも考慮する必要があります。
- テナント設置は「リフォームより高くなりやすい」
既存のトイレを改修するリフォームと比べると、テナントでの新設は以下の理由で費用が高くなりやすい傾向があります。
・配管をゼロから整備する必要がある
・設備・内装すべてを新規で施工する
・建物条件による制約が多い
そのため、費用だけでなく「本当に設置が必要か」「共用トイレで代替できないか」も含めて検討することが重要です。
テナントでのトイレ設置は、建物の条件によって費用が大きく変わります。
図面や現地状況をもとにした概算も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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第3章:実際のトイレリフォーム事例A
ここからは、実際に行われたトイレリフォーム事例を具体的に見ていきましょう。理論だけでなく、実例を知ることで、相場との照らし合わせやイメージがしやすくなります。
※本記事で紹介する事例は、トイレの「設置」ではなく既存設備の改修(リフォーム)事例です。
- 所在:東京都文京区
- 築年数:33年
- 施工フロア:4・5階
- 1フロア面積:トイレ部分17.0㎡(5.1坪)
- 便器更新:大便器×3、小便器×2
- 洗面台更新:手洗い器×4
- 内装更新:床長尺シート貼替、壁SOP塗装パテ補修の上SOP塗り
3-1.事例Aの費用内訳
上記工事(1フロア)に約450万円(税抜)かかっています。このうち、解体工事費が約20万円、設備工事材料費が約200万円というのが主な内訳です。
- トイレの単位面積あたり工事費
450万円÷17.0㎡(5.1坪)=26.4万円/㎡(88.2万円/坪)
- 便器の台数当たりの単価
450万円÷5台=90万円/台
上記計算から、第1章で挙げた相場(20~」30万円/㎡、80~」120万円/台)の範囲内におおむね収まっていることがわかります。
3-2.工事内容の特徴と留意点
- 設備工事材料費の占める割合
費用のかなりの部分を設備工事の材料費が占めていることがわかります。古い配管を撤去して新たな給排水設備を設置するなど、見えない部分でのコストが意外とかかる点に注意が必要です。
- 内装の仕上げレベル
壁をSOP塗装しているため、タイル貼りや高級クロスを使った場合よりも安価になっている可能性があります。仕上げの選択により、見た目や耐久性、メンテナンス性、そしてコストが大きく変わります。
第4章:実際のトイレリフォーム事例B
続いて、もう一つの事例を見ていきましょう。
- 所在:東京都文京区
- 築年数:30年
- 施工フロア:5階
- 1フロア面積:トイレ部分18.5㎡(5.6坪)
- 便器更新:大便器×3、小便器×2
- 洗面台更新:手洗い器×4
- 内装更新:床長尺シート貼替、壁SOP塗装の上SOP塗り
4-1.事例Bの費用内訳
上記工事に約510万円(税抜)かかっています。このうち解体工事費が約30万円、設備工事材料費が約265万円でした。
- トイレの単位面積あたり工事費
510万円÷18.5㎡(5.6坪)=27.5万円/㎡(91.0万円/坪)
- 便器の台数当たりの単価
510万円÷5台=102万円/台
こちらの事例も事例Aと同様に、第1章で提示した相場の範囲内であることが確認できます。
4-2.事例Bから見えるポイント
- 解体費用の差
事例Aより少し解体工事費が高めです。床下や壁内の配管が複雑だった、あるいは既存の内装や下地の状態によって撤去工事の手間が増えた可能性があります。
- 設備コストの増加要因
事例Aと比較して、設備工事材料費もやや高めです。これは材料のグレードや配管系の更新範囲が異なることが想定されます。同じような規模でも、既存設備の老朽度合いや使用する機器のレベルでこれだけ差が出るということがわかります。
第5章:費用に影響を与える主な要因
トイレの設置・リフォームは上記のように相場という大枠がありますが、実際は個別の事情で金額が上下します。ここでは、費用に影響を与える主な要因を整理します。
5-1.既存配管の状態
築古ビルの場合、配管がかなり老朽化しているケースもあります。錆びや詰まりが激しいと、配管の総取り替えが必要になり、設備工事費が大幅に増加します。逆に、まだ比較的使用できる状態であれば、一部交換や補強だけで済ませられることもあります。
5-2.給排水設備・トイレ機器のグレード
- 節水型の便器やウォシュレット機能付き便器、自動洗浄小便器など、最新機能を盛り込むほどコストは上がります。
- 洗面台の素材や水栓のタイプも、一般的なレバー水栓に比べ、センサー式や自動水栓は高価です。
- 内装材もタイル仕上げや高級クロス、あるいは耐水性・耐久性に優れた材料ほど費用がかさみます。
5-3.レイアウト変更の有無
トイレ個室の配置や数を変更したり、バリアフリー対応でブーススペースを拡張したりする場合は、間仕切り壁の撤去や新設、給排水配管のルート変更などの工事が必要となります。特に配管の大幅な変更は費用を押し上げる原因になりがちです。
5-4.工事の範囲
トイレ空間だけでなく、パウダールームや廊下も含めて一体的にリニューアルするかどうかで費用は大きく変わります。また、照明をLEDに変更する、換気設備を追加するなどの電気工事も範囲に含めると、追加費用が発生します。
5-5.施工スケジュールや夜間工事の有無
オフィスビルでは日中の工事が難しく、夜間や休日に工事する場合もあります。夜間工事や連休期間での集中工事では、人工(にんく:人件費)が割増になることもあるため、施工スケジュールの組み方で費用が左右されることがあります。
第6章:リフォーム計画を成功させるポイント
トイレリフォームを円滑に進め、コスト面でも納得のいく結果を得るためには、計画段階からのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、実際に工事を発注したり、施工会社とやり取りをする上でのアドバイスをご紹介します。
6-1.現地調査を徹底し、正確な見積もりを得る
相場を把握することは大切ですが、最終的には現地調査をしてもらった上で正式な見積もりを取ることが欠かせません。配管の状態や既存内装の下地、電気設備の容量など、建物ごとの事情を反映してはじめて、正確な金額がわかります。
6-2.優先順位を明確にする
「とにかく最新の機能を全部取り入れたい」「見た目を最高にしたい」など、要望はいろいろと出てくるかもしれませんが、コストとのバランスを考慮した優先順位を決めておくことが大切です。
- 節水効果を狙いたいのか
- ウォシュレット機能を充実させたいのか
- デザイン重視なのか
- 日常清掃が楽になる仕上げ材を選びたいのか
等々、優先度を明確にすると、設備や内装の選定段階で迷いが少なくなり、スムーズに発注できます。
6-3.テナントや利用者の声をヒアリング
オフィスビルのトイレは「利用者の満足度」が非常に重要です。工事を決める前に、テナントや従業員から現在のトイレに対する不満や要望をリサーチしておくと良いでしょう。実際に不満が多い箇所は費用をかけてでも改善することで、入居者満足度の向上につながり、空室対策にも大きく寄与します。
6-4.メンテナンス性や清掃性にも配慮する
リフォーム後のトイレを長期にわたって快適に保つために、メンテナンスのしやすさや清掃性を重視することが大切です。特に、汚れが付きにくい便器や、ワンタッチで取り外しできるウォシュレット機能など、清掃が簡単になる機能を選んでおくと、日々の維持管理コストを抑えられます。
6-5.バリアフリーやジェンダーレス対応を検討
近年は、バリアフリー対応やユニバーサルデザインを取り入れるケースが増えてきました。車椅子利用者でも使いやすい広めのブース、手すりの設置、段差の解消などは、多様な利用者が訪れるオフィスビルにおいて重要な要素です。
また、ジェンダーレスや多目的トイレの検討も、ビルとしてのイメージ向上や利用者の安心感につながります。これらの新しいニーズへの対応は、工事費用を増加させる場合もありますが、将来的な価値を高める点で検討する価値があります。
6-6.施工会社選びは複数社比較で
リフォーム費用は施工会社ごとに差があります。少なくとも2~3社の工事会社から相見積もりを取り、工事内容や条件を比較検討しましょう。価格だけでなく、工事内容の詳細やアフターサービスの有無、施工実績なども考慮すると、より納得できる発注先を選ぶことができます。
第7章:費用のまとめとおわりに
7-1.費用のまとめ
本稿では、オフィスビルのトイレリフォーム費用を相場と実際の事例の両面から概観してきました。事例A・事例Bの費用をみると、下記の相場の数値(第1章で紹介したもの)におおむね収まっていることがわかります。
- トイレの単位面積当たりリフォーム単価
20~30万円/㎡(66~99万円/坪)
- トイレの便器の台数(小便器+大便器の数)当たりのリフォーム単価
80~120万円/台
とはいえ、既存建物の状況やトイレ機器のグレード、解体工事の範囲、内装仕上げの種類などの要素によって、解体工事費・内装工事・設備工事・電気工事・大工工事などの費用は変動します。一概に「〇〇万円で大丈夫」と言い切れないのがリフォームの難しさでもあります。
しかし、概算ベースで「大体これくらいになる」という指標を持っておけば、リフォームをやるかどうかの初期判断を下す際に役立ちます。
7-2.今後の進め方
もし、トイレリフォームをやろうかどうか迷っている段階であれば、まずは簡単に床面積や便器数をベースに概算費用を出してみてください。そのうえで、実際に施工会社に現地調査してもらい、詳細見積もりを取ることをおすすめします。
また、テナントや従業員の声をよく聞き、どういった改善を望まれているのかを明確にすることも非常に重要です。コストを抑えるための妥協点と、入居者満足度を高めるために譲れない部分をしっかりとすり合わせ、計画に反映させましょう。
7-3.おわりに
本稿では、オフィスビルのトイレ設置・リフォーム費用について、大まかな相場から具体的な事例、その費用に影響を与える要因やリフォーム成功のポイントまでを一通り解説しました。
「どれくらい費用がかかるかイメージできない」という悩みをお持ちの方が多いと思いますが、今回ご紹介した相場と事例を目安に、まずはプランを立ててみてください。実際の金額は現場の状況や選ぶ設備で変わりますが、早期の概算把握は意思決定をスムーズにする大きな助けになります。
もしやろうかどうしようか迷っていらっしゃったら、ぜひこの費用感を参考にしてみてください。清潔で使いやすいトイレにすることは、入居テナントの満足度やビルの価値向上にもつながります。なにより美しいトイレはテナントの入居決定を後押ししてくれると思います。ぜひ前向きにご検討いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆様のリフォーム計画が成功に導かれることを心より願っております。
→オフィスのトイレ設置・リフォームのご相談はこちら(無料)https://offto.tokyo/property-journal/inquiry/
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
設計チーム
鶴谷 嘉平
1994年東京大学建築学科を卒業。同大学大学院にて集合住宅の再生に関する研究を行いました。
一級建築士として、集合住宅、オフィス、保育園、結婚式場などの設計に携わってきました。
2024年に当社に入社し、オフィスのリノベーション設計や、開発・設計(オフィス・マンション)を行っています。
2026年4月13日執筆