古い賃貸オフィスビルの内装をどう変える?働く人に選ばれる空間づくりのポイント
築年数が経過したオフィスビルでは、立地や賃料だけでなく、エントランスや共用部、貸室の使いやすさも物件選びの判断材料になります。働く環境を重視する企業が増えるなか、内装や設備の状態は内見時の印象だけでなく、入居後の使いやすさにも関わります。
本コラムでは、築古ビルのオーナーに向けて、内装を見直す際の考え方と優先したい改善箇所を解説します。
- どんな人向け?
- 築20〜40年程度のオフィスビルを所有・運営しているオーナー
- 空室対策として内装や共用部の見直しを検討している方
- 大規模改修の前にできる改善策を知りたい方
- 本コラムのポイント
- 内見ではデザインだけでなく、清潔感や設備の状態、使いやすさも見られる
- 築古ビルでは共用部と専有部を分けて改善の優先順位を決める
- 流行を取り入れるより、想定するテナントの働き方に合わせることが重要
- 結論
築古オフィスビルの内装は、すべてを新しくする必要はありません。エントランスや廊下、トイレなどの清潔感に加え、空調・照明・配線といった設備の使いやすさも見直すことが基本です。重要なのは、築年数を隠すことではなく、清潔で使いやすく、管理されている状態をつくることです。想定するテナントの働き方に合わせて、必要な箇所から改善を進めることが重要です。
なぜ今、オフィスの内装が重視されるのか
企業がオフィスを選ぶ際は、賃料や駅からの距離だけでなく、社員の過ごしやすさや来客の迎えやすさといった点も確認されます。そのため築古ビルでは壁や床を新しくするだけでなく、働きやすい設備や使いやすさが確保され、内見時にも管理状態が伝わることが重要です。
オーナー側では、次の視点から改善箇所を確認します。
- 社員が毎日使う場所に古さや汚れが目立っていないか
- 来客時にエントランスや廊下が暗い印象になっていないか
- 空調や照明、電源などが問題なく使える状態か
- テナントが貸室をレイアウトしやすい状態か
内装改善を含む築古ビルのバリューアップ施策については、以下のコラムでも詳しく解説しています。
あわせて読みたい: [ 築古の賃貸オフィスビルを魅力的に再生するリノベーション戦略 ]
テナントは内見でどこを見ているのか
テナントの内見では、貸室だけを見るわけではありません。建物に入ってから貸室へ向かうまでの共用部も含めて確認します。
主な確認箇所は次のとおりです。
| 項目 | 確認されやすいポイント |
|---|---|
| エントランス | 清潔感、明るさ、来客時の印象 |
| エレベーターホール・廊下 | 壁や床の傷み、照明、案内表示 |
| トイレ・給湯室 | 清潔感、臭い、設備の使いやすさ |
| 貸室 | 床・壁・天井の状態、レイアウトのしやすさ |
| 空調・照明 | 温度調整、明るさ、設備の更新状況 |
| 電源・通信 | 配線のしやすさ、電源容量、通信環境 |
特にエントランス・廊下・トイレは、社員だけでなく来客も利用する場所です。
貸室だけをきれいにしても、共用部の汚れや古さが目立つと、建物全体がどう管理されているかという印象にも影響します。
築古ビルでも選ばれる内装の条件
築古ビルの内装を見直す際は見た目を新しくするだけでなく、清潔感と使いやすさを改善することが重要です。
共用部と専有部に分けて考えると、優先順位をつけやすくなります。主な改善箇所と内容は次のとおりです。
| 区分 | 改善箇所 | 改善内容 |
|---|---|---|
| 共用部 | エントランス | 床・壁・照明・サインの更新 |
| 共用部 | エレベーターホール・廊下 | 照明・壁紙・床材の見直し |
| 共用部 | トイレ | 器具・鏡・照明・臭気対策 |
| 専有部 | 床・壁・天井 | OAフロア・クロス・床材の更新 |
| 専有部 | 設備 | 空調・照明・電源・配線の確認 |
特に優先したいのが、エントランスや廊下、トイレなどの共用部です。内見時にも目に入りやすいため、汚れや傷みが目立つ箇所から改善します。
専有部では床や壁などの見た目だけでなく、空調・照明・電源・通信環境など入居後の使いやすさに関わる設備も確認します。
すべてを一度に改修する必要はありません。建物の状態と予算を踏まえ、優先順位を決めて改善を進めることが大切です。
あわせて読みたい: [ オフィスリノベーションのポイント6選|空室対策・費用・設計の考え方を解説 ]
内装は「流行」よりも「誰が使うか」で考える
内装にはさまざまなデザインがありますが、流行している仕様をそのまま取り入れればよいわけではありません。重要なのは、どのような企業に入居してほしいのかを先に決めることです。
たとえば、想定するテナントの働き方や利用方法によって、優先する設備や改善箇所は変わります。
- 少人数の企業:レイアウト変更のしやすさを重視する
- 来客が多い企業:エントランスや受付まわりを整える
- 長時間のデスクワークが中心:照明や空調の使いやすさを確認する
- IT系企業などを想定する:電源や通信環境を確認する
「おしゃれにする」ことから考えるのではなく「誰がどう使うか」から内装を決めることが基本です。
大規模改修の前にできること
大きな工事を行わなくても、次のような点は改善できます。
- エントランスや廊下の汚れ・傷みの補修
- 共用部の照明の見直し、暗い場所の改善
- 掲示物やサインの位置・デザインの整理
- トイレの臭気や水まわりの状態確認
- 貸室内の不要な配線や古い設備の撤去
- 内見前に目につきやすい場所の清掃
築古ビルでは新しい設備を追加する前に、汚れ・傷み・使いにくさを改善することが重要です。
大規模な工事が必要な箇所と清掃や部分的な補修で対応できる箇所を分けて考えると、予算も組みやすくなります。
まとめ
築古オフィスビルの内装を見直す目的は、新築のような見た目にすることではありません。清潔感を保ち、必要な設備を問題なく利用でき、テナントが使いやすい貸室にすることが重要です。まずはエントランスや廊下、トイレなど共用部の状態を確認し、そのうえで貸室内の空調・照明・電源・配線などを見直します。すべてを一度に改修する必要はありません。入居してほしい企業と現在の建物状態を踏まえ、優先度の高い箇所から改善することが空室対策につながる内装づくりの基本です。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
プロパティマネジメントチーム
藤岡 涼
入社以来20年以上にわたり、東京23区のオフィスビルを中心にプロパティマネジメント・リーシング・建物管理を担当。
年間多数の交渉やトラブル対応経験を活かし、現場目線に立った迅速かつ的確な提案を通じて、オーナー様とテナント様双方の満足度向上に努めています。
2025年11月17日執筆