管理費を見直す際、多くのオーナーがまず相見積りを検討します。しかし、現在と同じ管理仕様のまま複数社を比較しても、業務内容や頻度が建物の状況に合っていなければ、十分なコスト削減にはつながりません。

本コラムでは、相見積りの前に管理仕様を見直す理由や、清掃・点検・警備などの内容や頻度を確認するポイントを中小オフィスビルのオーナー向けに解説します。


  • どんな人向け?

- オフィスビルの管理費を見直したいオーナー

- 管理会社からの見積金額が適正か判断したい方

- コスト削減と管理品質の両立を目指したい方


  • 本コラムのポイント

- 管理費は清掃・点検・警備などの管理仕様によって変わる

- 相見積りの前に、現在の業務内容や頻度を確認することが重要

- 法定点検や安全管理に必要な業務を維持しながら、見直せる業務を確認する


  • 結論

管理費を見直す際は、管理会社を比較する前に現在の管理仕様を確認することが重要です。清掃や巡回の頻度、報告方法などを建物の利用状況と照らし合わせ、必要性を確認したうえで相見積りを取ることで、価格だけでなく管理内容も比較できます。

なぜ「相見積り」の前に「仕様の見直し」が必要なのか

管理費は、清掃頻度、巡回回数、設備点検、緊急対応など委託する業務の内容や頻度によって変わります。そのため、相見積りを取る前に、現在どのような業務を委託し、それぞれにどの程度の費用がかかっているのかを確認することが重要です。


【価格比較前の確認項目】

  • 現在委託している業務とそれぞれの費用
  • 清掃や巡回などの実施頻度
  • 建物やテナントの利用状況に合っているか
  • 法定点検など維持すべき業務が含まれているか


例えば、テナントの利用状況が変わっているのに清掃回数が竣工時のままであれば、現在の建物に合った頻度へ変更できる可能性があります。必要な管理内容を整理したうえで相見積りを取ることで、各社の金額や業務内容を比較しやすくなります。

中小オフィスビルで管理仕様を見直すポイント

中小規模のオフィスビルでは、管理費を抑えるために業務を一律に減らせばよいわけではありません。法定点検や安全性に関わる業務は確保したうえで、頻度や運用方法を変更できる部分がないかを確認することがポイントです。


例えば、管理人を常駐させる必要性や巡回頻度は、建物規模やテナント数、来館者数、設備構成などによって変わります。一方、消防設備などの法定点検や安全性に関わる設備管理は、建物規模だけを理由に減らせるものではありません。

清掃・巡回などの管理内容を確認する

管理費を確認するときは、各業務の単価だけでなく「何を」「どの程度の頻度で依頼しているか」を見る必要があります。

業務確認したいこと見直しの例
清掃対象範囲、実施回数、時間帯利用状況に応じて頻度・時間帯を調整
巡回実施回数、確認項目回数や確認項目を整理
警備警備方法、対応時間建物規模に応じて機械警備なども比較
報告報告内容、提出頻度報告内容や頻度を整理
緊急対応対応時間、対象範囲必要な対応範囲を確認

同じ業務でも対象範囲や実施回数、対応条件によって費用は変わります。単に回数を減らすのではなく、現在の利用状況に対して必要な水準かを確認することが重要です。


≫「ビルメンテナンス」のサービス内容を見る


管理会社の役割や選び方について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご覧ください。

管理仕様を見直すための5つの視点

管理仕様を見直す際は、現在の業務内容を次の5つの視点から確認します。維持すべき業務と、頻度や運用方法を見直せる業務を整理することがポイントです。


  1. 建物・設備の状態:築年数や設備の状態に合った管理内容か
  2. テナントの利用状況:利用時間や共用部の使用状況に対して、清掃・巡回などの頻度が適切か
  3. 法定点検と任意業務:法令上必要な業務と任意の管理業務を区別できているか
  4. 保有方針:修繕や建替え、売却などの予定を踏まえた管理内容になっているか
  5. 管理会社の対応:緊急時の対応や日常の報告、改善提案などが適切に行われているか


管理仕様を整理したら、その内容をもとに複数社から見積りを取ります。金額だけで判断するのではなく、必要な業務や対応範囲が含まれているかを確認し、同じ条件で比較することが重要です。


複数の管理会社を活用する方法については、以下のコラムで詳しく解説しています。

まとめ|管理費削減は管理仕様の確認から始める

オフィスビルの管理費を削減する際は、単に安い管理会社へ変更するのではなく、現在の管理内容を確認することが重要です。

清掃や巡回、報告業務などは建物規模やテナントの利用状況によって必要な水準が変わります。一方、法定点検や安全管理など費用だけを理由に削るべきではない業務もあります。

まず現在の仕様を整理し、見直せる業務と維持すべき業務を分けたうえで相見積りを行うことが管理費を見直す基本です。

管理仕様の見直しで迷ったら

自社ビルに必要な管理内容を判断するには、建物の設備状況やテナントの利用状況まで確認する必要があります。

管理仕様や運営体制の見直しについてお悩みの方は、当社スペースライブラリまでお気軽にご相談ください。

執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ 代表取締役
羽部 浩志

1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる
1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる
2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り

2026年4月27日執筆

羽部 浩志
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オフィスビルのPM(プロパティマネジメント)会社見直し

オフィスビルの運営では、テナント募集や賃料管理、修繕対応などをPM会社に任せるケースがあります。ただし、長く同じ会社に委託していると現在の対応が適切なのか判断しにくくなることもあります。本コラムでは、PM会社を見直すタイミングや確認したい業務内容、継続・変更を判断するポイントを解説します。どんな人向け?- 現在のPM会社の対応内容を見直したいオーナー- 空室や賃料、修繕への提案が十分か確認したい方- PM会社を変更するか迷っている方本コラムのポイント- PM会社が担う業務と役割が分かる- 見直す際に確認したい項目が分かる- 継続・部分見直し・変更の考え方を整理できる結論PM会社の見直しは、会社を変更することが目的ではありません。まず確認したいのは、現在のPM会社が空室、賃料、テナント対応、修繕などの状況を把握し、必要な提案まで行えているかという点です。対応内容に問題がなければ継続し、不足している業務があれば役割や契約内容を見直します。それでも改善が難しい場合に、PM会社の変更を検討する流れが基本です。 目次PM会社はどこまで対応する?見直しを検討したいタイミング対応状況を確認する3つのポイントPM会社は変更するべき?見直す前に確認しておきたい資料まとめ PM会社はどこまで対応する? PMとは「プロパティマネジメント」の略で、オーナーに代わって賃貸不動産の運営を行う業務です。主な業務は次のとおりです。 業務主な内容テナント管理問い合わせ、契約更新、退去対応リーシング募集条件の設定、仲介会社との連携賃料管理入金確認、滞納対応、賃料の見直し修繕対応工事内容の整理、見積もり確認BM会社との連携清掃、点検、設備管理の調整オーナーへの報告稼働状況、収支、修繕状況の共有 重要なのは、依頼された業務を処理するだけではなく、現在の状況を踏まえて次の対応を提案できるかです。たとえば空室が続いている場合は、募集を継続するだけでなく、賃料や募集条件、内見時の反応などを確認し、改善策を整理する役割も求められます。 見直しを検討したいタイミング PM会社との契約が続いていても、定期的に業務内容を確認することが大切です。特に次のような状況が続いている場合は、PM会社の対応を見直すタイミングです。空室が長期化している募集状況の報告しかなく、改善提案がない修繕の見積もりや工事内容の説明が不十分月次報告の内容が毎回ほぼ同じテナントからの問い合わせ対応にばらつきがあるオーナー側で把握できていない業務が増えているこうした状態があっても、すぐにPM会社を変更する必要はありません。まずは、どの業務に不足があるのかを分けて確認することが重要です。 .button-inquiry { border: #CC3624 solid 1px; background-color: ##FFF9F4; margin: 0 auto 40px; width: fit-content; text-align: center; } .button-inquiry a { display: block; padding: 14px 24px; color: #CC3624; font-size: 15px; font-weight: bold; text-decoration: none !important; } 【無料】現在のPM体制について相談する 対応状況を確認する3つのポイント PM会社の対応を見る際は「募集・賃料」「日常の運営」「修繕・工事」の3つに分けて考えます。 1.募集・賃料への提案 空室がある場合は、募集を続けているかだけでなく問い合わせや内見の状況を踏まえて募集条件を見直しているかが重要です。賃料を下げる提案だけでなく、次の項目も把握できているかを見ます。周辺の募集物件との違い問い合わせ件数内見後の反応募集資料の内容仲介会社への情報共有空室の理由が分からないまま賃料や募集条件だけを変えても、適切な対策は取りにくくなります。問い合わせや内見の状況から原因を探り、次の対応を提案できているかがポイントです。あわせて読みたい:[ 築古の中型賃貸オフィスビルの空室率を下げるための実践的テナント誘致戦略 ] 2.日常の運営と報告 月次報告では、数字や対応件数だけでなく、前月からの変化や今後の対応まで共有されているかを確認します。主に見たい内容は次のとおりです。問い合わせ件数や内見件数内見後の反応テナントからの問い合わせ内容と対応状況設備の不具合と対応状況今後予定している対応たとえば空室がある場合「募集中」という報告だけではなく、問い合わせや内見の状況、その結果を踏まえた次の対応まで共有されていることが重要です。 3.修繕や工事への対応 PM会社は、修繕工事そのものを行う会社ではありませんが、オーナーが判断できるよう情報を整理する役割があります。修繕や工事の提案では、工事が必要な理由や実施時期、工事範囲、見積もり金額の妥当性まで説明されているかを確認します。工事内容と費用だけではなく「なぜ今、この工事が必要なのか」まで説明できることが重要です。 PM会社は変更するべき? 見直した結果、すぐに会社を変更する必要があるとは限りません。対応状況に応じて、次のように判断します。継続:現在の対応に大きな問題がない部分見直し:一部の業務や報告方法に不足がある変更:改善を求めても対応が変わらない既存のPM会社は、過去のテナント対応や修繕履歴など、そのビル特有の情報を把握している場合があります。そのため、管理料だけを比較して変更するとこれまで蓄積された情報が十分に引き継がれない可能性があります。管理費を見直す際も、金額だけではなく現在の管理仕様や委託内容まで確認することが重要です。あわせて読みたい: [ オフィスビルの管理費削減は「相見積り」の前に|管理仕様見直しのポイントを解説 ] 見直す前に確認しておきたい資料 PM会社を見直す際は担当者の印象だけで判断せず、これまでの対応内容を資料から確認します。 資料確認する内容PM契約書委託している業務の範囲月次報告書稼働状況や収支、対応内容空室募集履歴問い合わせ・内見・募集条件の変更契約更新・退去履歴更新状況や退去の経緯修繕履歴・工事見積書過去の工事内容や費用 資料を確認することで、契約している業務が実際にどこまで行われているかを整理できます。 まとめ PM会社の見直しで大切なのは「変えるか、変えないか」を最初に決めることではありません。まずは、空室や賃料への提案、日常の運営、修繕対応の3点から現在の業務内容を確認します。不足している部分があれば、担当範囲や報告方法を見直します。それでも改善が難しい場合は、PM会社の変更を検討します。会社名や管理料だけではなく、所有するビルに必要な業務を継続して行えているかを基準に判断することが重要です。 【無料】PM会社の見直しについてご相談はこちら 執筆者紹介 株式会社スペースライブラリ 代表取締役 羽部 浩志 1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる 1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる 2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り 2026年5月7日執筆

オフィスビル購入直後の管理会社見直し|継続・変更を判断するポイント

オフィスビルを購入した直後は、既存の管理会社をそのまま継続するか、別会社へ変更するか判断が必要です。ただし、管理会社は費用だけで比較できません。これまでのテナント対応や設備の状況を把握していることも、運営上の重要な要素です。本コラムでは、購入直後に管理会社を見直す際の確認項目と、継続・変更を判断するポイントを解説します。どんな人向け?- オフィスビルを購入し、管理会社を継続するか迷っている方- 現在の管理内容や管理費が適切か確認したいオーナー- 管理会社を見直す際のポイントを知りたい方本コラムのポイント- 購入直後に確認したい管理内容が分かる- 管理会社を継続・変更する判断基準を整理できる- 管理会社を変更する際の注意点が分かる結論オフィスビル購入直後は、すぐに管理会社を変更するのではなく、現在の契約内容や管理状況を確認することが先です。既存の管理会社が持つテナント対応履歴や設備情報も確認し、不足している業務があれば見直します。それでも改善が難しい場合に、管理会社の変更を検討する流れが基本です。 目次購入直後に確認したい管理会社の5つのポイント管理会社を継続・変更する判断基準購入直後はどう進める?まとめ 購入直後に確認したい管理会社の5つのポイント 管理会社を比較する際は、管理費だけでなく実際にどこまで業務を行っているかを確認します。 1.管理委託契約の範囲 まず確認したいのは、現在の管理委託契約で何を依頼しているかです。管理会社によって、テナント対応、設備管理、修繕手配、収支管理など担当する範囲は異なります。そのため、月額の管理費だけを比べても、同じ条件で比較しているとは限りません。契約書と実際の対応内容を照らし合わせ、委託している業務が行われているかを確認します。あわせて読みたい: [ ビル管理会社の選び方|オーナーが確認したい6つのポイントを解説 ] 2.月次報告の内容 月次報告では、数字や実施した業務が並んでいるだけでなく、何が起きたのか、その後どう対応したのかまで共有されているかを見ます。確認したい内容は次のとおりです。稼働状況や入退去の動きテナントからの問い合わせ設備の不具合と対応内容修繕や工事の進捗今後予定している対応報告内容が分かりやすければ、オーナーも次に必要な判断をしやすくなります。 3.テナント対応の履歴 既存の管理会社には、これまでのテナント対応に関する情報が蓄積されています。たとえば、契約更新時のやり取り、過去のクレーム、設備不具合への対応、個別に調整した内容などです。こうした情報は契約書や月次報告だけでは分からないことがあります。管理会社を変更する場合は、過去の対応履歴まで引き継げるかを確認することが重要です。 4.設備の状態を把握しているか 築年数が経過したビルでは、図面や点検記録だけでは分からない設備の特徴があります。たとえば、特定の場所で空調の不具合が起きやすい、水回りで修繕を繰り返しているなど、建物ごとに状況は異なります。既存の管理会社がこうした情報を把握していれば、不具合が発生した際も過去の経緯を踏まえて対応できます。会社を変更する際は、設備情報や修繕履歴がどこまで引き継がれるかも確認します。 5.修繕の提案内容 修繕では、不具合が起きるたびに対応するだけでなく、今後の工事まで見据えた提案ができているかを確認します。工事が必要な理由や実施時期、優先順位、見積もり金額の根拠まで説明されているかがポイントです。工事を手配するだけでなく、オーナーが判断できる材料まで提示されていることが重要です。あわせて読みたい: [ オフィスビルの長期修繕計画とは?|計画的に資産価値を高めるために ] .button-inquiry { border: #CC3624 solid 1px; background-color: ##FFF9F4; margin: 0 auto 40px; width: fit-content; text-align: center; } .button-inquiry a { display: block; padding: 14px 24px; color: #CC3624; font-size: 15px; font-weight: bold; text-decoration: none !important; } 【無料】現在の管理体制について相談する 管理会社を継続・変更する判断基準 現在の管理内容を確認したら、継続するか変更するかを判断します。費用だけで決めず、現在の対応状況や変更による影響まで確認することが重要です。 変更を検討するケース 次のような状態が続いている場合は、管理会社の変更を検討します。契約している業務が十分に行われていないテナントへの対応が遅い月次報告だけで改善提案がない修繕の必要性や費用について説明がない担当者によって対応に差があるただし、ひとつ当てはまっただけですぐに変更する必要はありません。まずは改善を求め、それでも対応が変わらない場合に変更を検討します。 継続を検討するケース 一方、次のような場合は、既存の管理会社を継続する選択肢があります。テナントごとの対応履歴を詳しく把握している設備の特徴や過去の不具合を理解している管理内容に大きな問題がない管理会社を変更しても大きな改善が見込めない管理会社の変更には、契約手続きだけでなく、テナントへの案内や資料の引継ぎも必要です。管理費だけで判断せず、変更にかかる負担やこれまでのテナント対応・設備情報を引き継げるかまで確認することが重要です。 購入直後はどう進める? 購入直後は、最初から「継続」「変更」を決める必要はありません。まずは、次の資料を確認します。 確認する資料見るポイント管理委託契約書委託している業務の範囲月次報告書管理状況や対応内容テナント対応履歴過去の問い合わせや対応点検・修繕履歴設備の状態や工事内容工事見積書費用と工事内容 資料を確認したうえで、契約内容と実際の管理に差がないかを見ます。その後、既存の管理会社で一定期間運営し、対応の早さ、報告内容、修繕提案などを確認します。問題がなければ継続し、不足している部分があれば業務内容を見直します。それでも改善が難しい場合に、別の管理会社を検討します。 まとめ オフィスビル購入直後の管理会社見直しでは、費用だけで継続・変更を決めないことが重要です。まずは契約内容、テナント対応、設備情報、修繕履歴などを確認し、管理会社がどこまで対応できているかを把握します。管理内容に問題がなければ継続し、不足している部分は見直します。変更する場合も、これまで蓄積された情報を引き継げるかまで確認したうえで判断することが大切です。 【無料】管理会社の継続・見直しについてご相談はこちら 執筆者紹介 株式会社スペースライブラリ 代表取締役 羽部 浩志 1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる 1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる 2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り 2026年4月28日執筆
 
 
 
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