オフィスビルのPM(プロパティマネジメント)会社見直し
オフィスビルの運営では、テナント募集や賃料管理、修繕対応などをPM会社に任せるケースがあります。ただし、長く同じ会社に委託していると現在の対応が適切なのか判断しにくくなることもあります。
本コラムでは、PM会社を見直すタイミングや確認したい業務内容、継続・変更を判断するポイントを解説します。
- どんな人向け?
- 現在のPM会社の対応内容を見直したいオーナー
- 空室や賃料、修繕への提案が十分か確認したい方
- PM会社を変更するか迷っている方
- 本コラムのポイント
- PM会社が担う業務と役割が分かる
- 見直す際に確認したい項目が分かる
- 継続・部分見直し・変更の考え方を整理できる
- 結論
PM会社の見直しは、会社を変更することが目的ではありません。まず確認したいのは、現在のPM会社が空室、賃料、テナント対応、修繕などの状況を把握し、必要な提案まで行えているかという点です。対応内容に問題がなければ継続し、不足している業務があれば役割や契約内容を見直します。それでも改善が難しい場合に、PM会社の変更を検討する流れが基本です。
PM会社はどこまで対応する?
PMとは「プロパティマネジメント」の略で、オーナーに代わって賃貸不動産の運営を行う業務です。
主な業務は次のとおりです。
| 業務 | 主な内容 |
|---|---|
| テナント管理 | 問い合わせ、契約更新、退去対応 |
| リーシング | 募集条件の設定、仲介会社との連携 |
| 賃料管理 | 入金確認、滞納対応、賃料の見直し |
| 修繕対応 | 工事内容の整理、見積もり確認 |
| BM会社との連携 | 清掃、点検、設備管理の調整 |
| オーナーへの報告 | 稼働状況、収支、修繕状況の共有 |
重要なのは、依頼された業務を処理するだけではなく、現在の状況を踏まえて次の対応を提案できるかです。
たとえば空室が続いている場合は、募集を継続するだけでなく、賃料や募集条件、内見時の反応などを確認し、改善策を整理する役割も求められます。
見直しを検討したいタイミング
PM会社との契約が続いていても、定期的に業務内容を確認することが大切です。
特に次のような状況が続いている場合は、PM会社の対応を見直すタイミングです。
- 空室が長期化している
- 募集状況の報告しかなく、改善提案がない
- 修繕の見積もりや工事内容の説明が不十分
- 月次報告の内容が毎回ほぼ同じ
- テナントからの問い合わせ対応にばらつきがある
- オーナー側で把握できていない業務が増えている
こうした状態があっても、すぐにPM会社を変更する必要はありません。まずは、どの業務に不足があるのかを分けて確認することが重要です。
対応状況を確認する3つのポイント
PM会社の対応を見る際は「募集・賃料」「日常の運営」「修繕・工事」の3つに分けて考えます。
1.募集・賃料への提案
空室がある場合は、募集を続けているかだけでなく問い合わせや内見の状況を踏まえて募集条件を見直しているかが重要です。
賃料を下げる提案だけでなく、次の項目も把握できているかを見ます。
- 周辺の募集物件との違い
- 問い合わせ件数
- 内見後の反応
- 募集資料の内容
- 仲介会社への情報共有
空室の理由が分からないまま賃料や募集条件だけを変えても、適切な対策は取りにくくなります。問い合わせや内見の状況から原因を探り、次の対応を提案できているかがポイントです。
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2.日常の運営と報告
月次報告では、数字や対応件数だけでなく、前月からの変化や今後の対応まで共有されているかを確認します。
主に見たい内容は次のとおりです。
- 問い合わせ件数や内見件数
- 内見後の反応
- テナントからの問い合わせ内容と対応状況
- 設備の不具合と対応状況
- 今後予定している対応
たとえば空室がある場合「募集中」という報告だけではなく、問い合わせや内見の状況、その結果を踏まえた次の対応まで共有されていることが重要です。
3.修繕や工事への対応
PM会社は、修繕工事そのものを行う会社ではありませんが、オーナーが判断できるよう情報を整理する役割があります。修繕や工事の提案では、工事が必要な理由や実施時期、工事範囲、見積もり金額の妥当性まで説明されているかを確認します。工事内容と費用だけではなく「なぜ今、この工事が必要なのか」まで説明できることが重要です。
PM会社は変更するべき?
見直した結果、すぐに会社を変更する必要があるとは限りません。
対応状況に応じて、次のように判断します。
- 継続:現在の対応に大きな問題がない
- 部分見直し:一部の業務や報告方法に不足がある
- 変更:改善を求めても対応が変わらない
既存のPM会社は、過去のテナント対応や修繕履歴など、そのビル特有の情報を把握している場合があります。そのため、管理料だけを比較して変更するとこれまで蓄積された情報が十分に引き継がれない可能性があります。管理費を見直す際も、金額だけではなく現在の管理仕様や委託内容まで確認することが重要です。
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見直す前に確認しておきたい資料
PM会社を見直す際は担当者の印象だけで判断せず、これまでの対応内容を資料から確認します。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| PM契約書 | 委託している業務の範囲 |
| 月次報告書 | 稼働状況や収支、対応内容 |
| 空室募集履歴 | 問い合わせ・内見・募集条件の変更 |
| 契約更新・退去履歴 | 更新状況や退去の経緯 |
| 修繕履歴・工事見積書 | 過去の工事内容や費用 |
資料を確認することで、契約している業務が実際にどこまで行われているかを整理できます。
まとめ
PM会社の見直しで大切なのは「変えるか、変えないか」を最初に決めることではありません。まずは、空室や賃料への提案、日常の運営、修繕対応の3点から現在の業務内容を確認します。不足している部分があれば、担当範囲や報告方法を見直します。それでも改善が難しい場合は、PM会社の変更を検討します。会社名や管理料だけではなく、所有するビルに必要な業務を継続して行えているかを基準に判断することが重要です。
執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ 代表取締役
羽部 浩志
1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる
1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる
2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り
2026年5月7日執筆