オフィスビル投資では、利回りの高さだけで物件を判断してしまうケースが少なくありません。

しかし、実際の収益は空室率や修繕費、管理状態などさまざまな要素によって変わります。

本コラムでは、表面利回りと実質利回りの違い、NOIや収益還元法の基本的な考え方、購入前に確認したいポイントを解説します。

 

  • どんな人向け?

- オフィスビル投資を検討している方

- 利回りだけで物件を判断してよいか迷っている方

- 物件の収益性を正しく見極めたい方

 

  • 本コラムのポイント

- 利回りだけで判断してはいけない理由が分かる

- NOIや収益還元法の基本的な考え方が分かる

- 購入前に確認したいポイントが分かる

 

  • 結論

オフィスビル投資では、利回りは重要な指標の一つですが、それだけで物件の価値や収益性を判断することはできません。

空室率や修繕費、管理状態、設備更新の状況なども含めて確認することでより実態に近い収益性を把握できます。

数字だけを見るのではなくその背景まで確認することが、長期的に安定した収益につながります。

利回りだけで判断してはいけない理由

オフィスビル投資では、物件資料の「利回り」に目が向きがちですが、この数字だけで物件の価値は判断できません。

※利回り…購入価格に対して年間どれくらいの収益が見込めるかを示す指標

 

例えば、同じ利回り8%の物件でも、修繕費や管理費、空室リスクによって実際の収益は大きく変わります。

築古物件は購入価格が低いため利回りが高く見えることがありますが、購入後すぐに設備更新が必要になる場合もあります。

また、高い利回りが設定された物件でも、空室が長期化していたり設備や管理体制に課題があったりするケースもあります。


重要なのは利回りの数字だけでなく、その収益を長期的に維持できるかを確認することです。

表面利回りと実質利回りの違い

利回りには、大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」があります。

この違いを理解しておかないと、購入後に「思っていたより利益が残らない」という結果になりかねません。

比較項目表面利回り実質利回り
計算方法年間賃料収入÷購入価格年間収入−経費÷購入価格
修繕費含まない含める
管理費含まない含める
固定資産税含まない含める
収益の実態把握しにくい把握しやすい

表面利回りは計算が簡単なため、不動産広告などで広く使われています。

一方、実際の運営では管理費や修繕費、固定資産税などの支出が必ず発生します。

例えば、表面利回りが8%でも年間の維持管理コストが大きければ、実際に手元へ残る収益は大きく減少します。

 

そのため、物件を比較する際は表面利回りだけで判断するのではなく、実際にどの程度の収益が残るのかまで確認することが重要です。

NOIを確認する理由

物件の収益性を判断する際によく使われる指標が、NOI(営業純利益)です。

NOIとは、賃料収入から管理費や維持管理費など、建物の運営に必要な経費を差し引いた収益を指します。

つまり、オフィスビルがどれだけ収益を生み出す力を持っているかを判断するための指標です。

例えば、次のような支出はNOIに影響します。

 

  • 管理費
  • 清掃費
  • 設備点検費
  • 共用部の電気代
  • 修繕費(運営に必要なもの)

 

一方で、借入金の返済や減価償却費はNOIには含まれません。これは、建物そのものの収益力を比較するためです。

同じ賃料収入でも、管理費が適正で空室率が低い物件はNOIが高くなる一方、設備の老朽化や空室の長期化が進むとNOIは低くなります。

収益性を判断する際は、賃料収入だけでなく実際にどれだけ利益が残るかという視点が重要です。

収益還元法の考え方

オフィスビルは、住宅と比べて収益性が物件の価値に影響しやすい不動産です。

その考え方が「収益還元法」です。

収益還元法では、建物の価値を判断する際に次のようなポイントを確認します。


  • 賃料収入
  • 空室率
  • 管理状態
  • 修繕状況


例えば同じ年間賃料収入でも、管理状態が良く空室率が低い物件と設備の老朽化で空室が続く物件では、将来期待できる収益は異なります。

重要なのは「今の収益」だけでなく「今後も安定した収益を維持できるか」ということです。

また、大規模な投資ではDCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)が用いられることもあります。

将来見込める収益を現在の価値に換算して評価する方法ですが、まずは収益還元法の考え方を理解しておけば十分です。

購入前に確認したいポイント

収益性を判断する際は、利回りだけでなく次のポイントも確認しましょう。

確認項目確認したいポイント
空室率空室が一時的か、長期化しているか
修繕履歴設備更新が計画的に行われているか
管理費収益に対して適正な金額か
テナント構成退去リスクが偏っていないか
賃料水準周辺相場と比べて適正か

特に確認したいのが、修繕履歴と空室の理由です。

例えば、空室が多い物件でも募集条件や共用部の改善によって解決できるケースがあります。

一方で、空調設備や給排水設備の更新時期が迫っている場合は、多額の修繕費が必要になる可能性があります。

 

購入後に想定外の支出が発生すると、当初計画していた収益を確保できなくなることもあります。

そのため、物件資料だけで判断するのではなく設備更新履歴や長期修繕計画まで確認することが大切です。

数字だけでは見えない収益性

収益性は数字だけで判断できるものではありません。

例えば、表面利回りが低くても空室率が低く設備管理が行き届いている物件は、長期的に安定した収益が期待できます。

一方で、利回りが高く見える物件でも空室が長期化していたり設備更新を控えていたりすると、将来的な収益は大きく変わります。

重要なのは「なぜその数字になっているのか」を確認することです。

 

利回りやNOIは物件を比較するための指標ですが、それだけで購入を判断するものではありません。

管理状態や設備更新の状況、空室の理由まで確認することでより実態に近い収益性を把握できます。

次回「第5回:オフィスビル投資の税金・法務|購入前に知っておきたい基礎知識」は10月15日公開予定です。

 

【オフィスビル投資コラムシリーズ一覧】

[ 第1回:オフィスビル投資とは?住宅投資との違いと成功の考え方 ]

[ 第2回:オフィスビル投資で押さえたい立地選びのポイント ]

[ 第3回:オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方 ]

[ 第4回:オフィスビル投資の収益分析|利回りだけで判断してはいけない理由 ]

 

あわせて読みたい

[ オフィスビルの長期修繕計画とは?計画的に資産価値を高めるために ]

[ オフィスビルの設備管理とは?点検・修繕・更新のポイントを解説 ]

執筆者紹介
株式会社スペースライブラリ
代表取締役
羽部 浩志

1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる
1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる
2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り

2026年10月1日執筆

羽部 浩志
Related Articles

オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方【オフィスビル投資コラムシリーズ③】

「築浅だから安心」「築古だから危険」そのようなイメージだけで物件を判断していないでしょうか。オフィスビル投資では、規模や築年数だけで物件の価値は決まりません。重要なのは、購入後の運営まで見据えて自分の投資方針に合った物件を選ぶことです。本コラムでは、規模や築年数ごとの特徴や、購入前に確認したいポイントについて解説します。 どんな人向け?- オフィスビル投資を検討している方- 築古物件と築浅物件の違いを知りたい方- 物件選びの判断基準を身につけたい方 本コラムのポイント- 規模による投資スタイルの違いが分かる- 築年数だけで判断できない理由が分かる- 購入前に確認したいポイントが分かる 結論オフィスビル投資では「大きい」「新しい」という理由だけで物件を選ぶべきではありません。規模や築年数だけでなく、管理状態や設備更新の状況、どの部分を改善できるかまで確認し、長期的な運営を見据えて判断することが重要です。 目次規模によって投資の考え方は変わる築浅と築古、それぞれの特徴築古だから選ばれないわけではない購入前に確認したいポイント購入後の運営まで見据えることが重要 規模によって投資の考え方は変わる 同じオフィスビルでも、規模によって求められる運営や投資の考え方は異なります。大規模ビルは安定した収益を期待しやすい一方で、設備更新や維持管理には大きな費用がかかる場合があります。一方、中小規模ビルはオーナーの判断や改善が建物の競争力に反映されやすく、運営次第で資産価値を高められる可能性があります。重要なのは、規模だけで物件の良し悪しを判断しないことです。自分の資金計画や運営方針に合った規模を選ぶことが、長期的な運営につながります。 項目大規模ビル中小規模ビル特徴収益が安定しやすいオーナーの工夫を反映しやすい初期投資多額の投資が必要になりやすい比較的購入しやすい設備更新更新費用が大きくなりやすい改善を進めやすい 築浅と築古、それぞれの特徴 築年数だけで物件の価値は決まりません。築浅物件は設備が新しく、当面の修繕費を抑えやすい反面、購入価格が高くなりやすく、利回りは低めになる傾向があります。一方、築古物件は購入価格を抑えやすく、改善によって競争力を高められる可能性があります。 比較項目築浅築古購入価格高い比較的低い修繕費少ない傾向発生しやすい改善余地小さい大きい利回り低め高めになる場合がある ただし、築年数だけで建物の価値を判断することはできません。同じ築30年のビルでも、設備更新や共用部の改修が計画的に行われている物件と長年ほとんど手が入っていない物件では、テナントからの評価は大きく異なります。購入前には築年数だけでなく設備更新履歴や修繕履歴まで確認し、現在の建物の状態を把握することが重要です。 築古だから選ばれないわけではない 築古ビルでも、高い稼働率を維持している物件は数多くあります。その違いを生むのは築年数ではなく、管理状態や設備更新の状況です。例えば、次のような改善を行うことで築年数が経過したビルでもテナントから選ばれやすくなります。 エントランスを改修している共用トイレをリニューアルしている空調設備を計画的に整備している募集条件を市場に合わせて見直している 反対に、設備更新を長期間行っていない場合は、立地が良くてもテナントから選ばれにくくなることがあります。 購入前に確認したいポイント 確認しておきたい項目 物件資料だけでは確認できない情報もあるため、購入前は次の内容を確認しておきましょう。長期修繕計画の有無設備更新履歴空室の理由テナント構成管理会社の運営状況 設備更新履歴と空室の理由を確認する 特に確認したいのが、設備更新履歴です。空調設備や給排水設備、エレベーターなどは更新費用が高額になりやすく、購入後すぐに更新が必要になれば収支計画へ大きな影響を与える可能性があります。また、空室が続いている物件では賃料だけが原因とは限らず、次のようなことが影響しているケースもあります。設備の老朽化が進んでいる共用部の印象が古い募集条件が市場に合っていない管理体制に課題がある購入前には空室の状況だけでなく、その背景まで確認することが大切です。 購入前のチェックリスト 自分の資金計画に合った規模か築年数だけで判断していないか設備更新や修繕履歴を確認したか空室の理由を把握しているか購入後に改善できるポイントがあるか .button-inquiry { border: #CC3624 solid 1px; background-color: ##FFF9F4; margin: 0 auto 40px; width: fit-content; text-align: center; } .button-inquiry a { display: block; padding: 14px 24px; color: #CC3624; font-size: 15px; font-weight: bold; text-decoration: none !important; } 【無料】所有ビルの管理・運営について相談する 購入後の運営まで見据えることが重要 規模や築年数は物件選びで重要なポイントですが、それだけで長期的な収益は決まりません。建物の競争力は、購入後の運営によって変わります。適切な設備更新や計画的な修繕を続ければ、築年数が経過したビルでも競争力を維持し、安定した収益につなげることは十分可能です。一方で、設備更新を先送りにすると立地が良くても空室が増え、収益性が低下する可能性があります。物件選びでは、現在の状態だけでなく「購入後にどのようなビルへ育てていくか」という視点も重要です。次回「第4回:オフィスビル投資の収益分析|利回りだけで判断してはいけない理由」もあわせてご覧ください。 【オフィスビル投資コラムシリーズ一覧】[ 第1回:オフィスビル投資とは?住宅投資との違いと成功の考え方 ][ 第2回:オフィスビル投資で押さえたい立地選びのポイント ][ 第3回:オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方 ][ 第4回:オフィスビル投資の収益分析|利回りだけで判断してはいけない理由 ]あわせて読みたい[ 選ばれる築古オフィスビルとは?|テナントが確認するポイントと改善方法 ][ オフィスビルの長期修繕計画とは?|計画的に資産価値を高めるために ] 【無料】所有ビルの管理・運営について相談する 執筆者紹介 株式会社スペースライブラリ 代表取締役 羽部 浩志 1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる 1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる 2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り 2026年9月17日執筆

オフィスビル投資で押さえたい立地選びのポイント【オフィスビル投資コラムシリーズ②】

「駅徒歩5分」という表記だけで、物件の価値を判断していないでしょうか。住宅と異なり、オフィスビルは企業の事業活動そのものに直結する「インフラ」です。どれほど内装や設備を整えても、立地がテナントニーズに合っていなければテナントから選ばれ続けることは難しくなります。本コラムでは、立地を選ぶ際に確認したいポイントや、テナントに選ばれるエリアの考え方について解説します。 どんな人向け?- 住宅投資からオフィスビル投資へのステップアップを検討している方-「なんとなく」の感覚で立地を選び、空室リスクに不安を感じているオーナー- 物件の利回りだけでなく、長期的な資産価値を最大化させたい経営志向の強い方 本コラムのポイント- 駅距離だけでは判断できない理由が分かる- エリア選びで確認すべきポイントが分かる- 災害リスクを確認する重要性が分かる 結論オフィスビル投資における立地は、単に駅に近い場所を選べばよいというものではありません。テナント企業が働きやすく、事業を続けやすい環境かどうかが重要です。物件を選ぶ際は、ターゲットとするテナント層や街の将来性、災害リスクなどを総合的に確認し、長期的な視点で判断することが大切です。 目次エリア選びで確認したいポイント駅距離だけで立地を判断しない再開発と街の将来性災害リスクとBCP対策立地評価の比較軸立地選びのチェックリスト エリア選びで確認したいポイント エリア選びでよくあるのが「なんとなく人気があるから」「知っている場所だから」という理由で判断してしまうことです。オフィスビルの立地価値は、その街にどのような企業が集まり、どのようなテナントニーズがあるかによって大きく変わります。 ターゲットとエリアの相性を確認するターゲットとするテナント層に対して、エリアの特性が合っているかを確認しましょう。例えば、IT企業が多いエリアはIT関連企業、士業やコンサルティング会社が集まるエリアは同業種から選ばれやすい傾向があります。ターゲットとするテナント層とエリアの特性が合っていなければ、空室リスクは高まります。 再開発や都市計画を確認する自治体が進めている再開発や交通インフラの整備計画も確認しましょう。こうした計画があるエリアは、将来的に企業の進出やオフィス需要が高まる可能性があります。一方で、大きな開発計画がないエリアでは現在の需要だけでなく、将来性も含めて慎重に判断することが大切です。 駅距離だけで立地を判断しない 「駅徒歩5分」という表記だけでは、立地の良し悪しは判断できません。重要なのは社員や来訪者が通いやすく、利用しやすい環境が整っているかです。 路線の利便性主要駅へのアクセスや乗り換え回数、所要時間も確認しましょう。社員が通勤しやすい立地は、テナントがオフィスを選ぶ際の重要な判断材料の一つです。 歩きやすさと周辺環境駅からビルまでの道中に坂道や歩道の狭さ、夜間に不安を感じる場所がないかも確認しましょう。また、飲食店や銀行などの周辺施設が充実していることも、テナントの利便性につながります。重要なのは駅からの距離だけでなく、日常的に利用しやすい環境が整っているかどうかです。 時間帯別の動線確認昼間だけでなく、夜間の人通りや街の雰囲気も確認しておきましょう。周辺環境に不安があるエリアは、テナントによっては立地選びの判断に影響することがあります。特に夜間の利用が多い企業では、周辺環境を重視する傾向があります。 再開発と街の将来性 再開発が進むエリアは、街の利便性や認知度の向上が期待できます。一方で、新たなオフィスが増えることで、テナント獲得競争が激しくなる場合もあります。再開発の有無だけでなく、その内容や将来的なオフィス需要まで確認することが大切です。 新しいオフィスビルの増加を確認する大規模オフィスビルが増えると、中小規模ビルは募集条件の見直しを迫られる場合があります。一方で、街全体の注目度が高まることで、周辺の既存ビルにも新たな需要が生まれることがあります。再開発の影響を考える際は、新しいオフィスが増えることだけでなく、それに見合う需要が見込めるかどうかを確認することも重要です。 オフィス以外の施設近隣に大型商業施設ができる場合、オフィス需要の増加につながる可能性があります。一方で、交通渋滞などにより来訪しづらくなる可能性もあるため、メリットとデメリットの両面から判断することが重要です。 災害リスクとBCP対策 近年は、ハザードマップなどの災害リスクを確認したうえでオフィスを選ぶ企業も増えています。特に、BCP(事業継続計画)を重視する企業では、災害リスクも立地を判断する重要な要素の一つです。 リスクの実務的影響単に浸水や土砂災害の危険性があるというだけでなく、災害リスクが高いエリアの物件は「火災保険料」が割高になるほか、テナント企業がBCP上の理由から入居を断念するケースも珍しくありません。ここを軽視して安値で物件を買ったとしても、結果として質の高いテナントを呼び込めず、空室リスクと賃料回収リスクに長期的に苦しむことになります。 立地評価の比較軸 オフィスビルの立地を確認する際は、次のポイントを比較しながら判断しましょう。 評価項目確認したいポイント影響エリアの企業集積同業他社の存在・エリアの特性テナント属性・賃料水準アクセスのしやすさ徒歩動線・周辺利便性通勤・来訪の利便性再開発街の将来性・再開発の状況中長期的な資産価値災害リスクハザードマップ・BCPテナントの立地判断 .button-inquiry { border: #CC3624 solid 1px; background-color: ##FFF9F4; margin: 0 auto 40px; width: fit-content; text-align: center; } .button-inquiry a { display: block; padding: 14px 24px; color: #CC3624; font-size: 15px; font-weight: bold; text-decoration: none !important; } 【無料】所有ビルの立地について相談する 立地選びのチェックリスト ここまでの内容を踏まえ、立地選びで確認したいポイントをまとめます。 ・そのエリアに、ターゲットとする企業が集まっているか・駅からの距離だけでなく、通勤や来訪がしやすい立地か・飲食店や銀行など、周辺施設が充実しているか・ハザードマップなどを確認し、災害リスクに問題はないか・再開発や交通インフラ整備など、街の将来性が期待できるか 立地を判断する際は、オーナーの視点だけでなく、テナント企業の立場で考えることが大切です。「この場所は自社にとって働きやすく、事業を進めやすいか」という視点で見ることで、立地の価値を判断しやすくなります。立地は購入後に変えることができないからこそ、駅からの距離だけでなく、周辺環境や街の将来性まで確認しておきましょう。立地を確認したあとは、建物そのものにも目を向ける必要があります。次回「オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方」では、建物の規模や築年数を見る際のポイントを解説します。 【オフィスビル投資コラムシリーズ一覧】[ 第1回:オフィスビル投資とは?住宅投資との違いと成功の考え方 ][ 第2回:オフィスビル投資で押さえたい立地選びのポイント ][ 第3回:オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方 ][ 第4回:オフィスビル投資の収益分析|利回りだけで判断してはいけない理由 ] 【あわせて読みたい】[ 徒歩5分より徒歩10分が選ばれることもある|オフィス立地の競争力を決める本当の要素 ][ 都心立地の価値は今後も続くのか?築古オフィスビルの生き残り戦略を考える ] 【無料】所有ビルの管理・運営について相談する 執筆者紹介 株式会社スペースライブラリ 代表取締役 羽部 浩志 1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる 1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる 2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り 2026年9月3日執筆

オフィスビル投資とは?住宅投資との違いと成功の考え方【オフィスビル投資コラムシリーズ①】

オフィスビル投資は、住宅投資とは異なる特徴や考え方があります。物件を購入するだけでは安定した収益は得られず、購入後の管理や運営も収益を左右する重要な要素です。本コラムでは、住宅投資との違いやオフィスビル投資の魅力、投資目的の考え方など、シリーズの第一回として押さえておきたい基礎知識を解説します。 どんな人向け?- オフィスビル投資をこれから始めたい方- 住宅投資との違いや特徴を知りたい方- 一棟オフィスビルの購入を検討している方 本コラムのポイント- オフィスビル投資と住宅投資の違いが分かる - オフィスビル投資の魅力や特徴を理解できる - 購入後の運営が重要である理由を理解できる 結論オフィスビル投資では、購入時の価格だけでなく、その後の管理や運営も収益や資産価値に大きく影響します。そのため、住宅投資とは異なる特徴を理解し、購入前から長期的な運営を見据えて物件を選ぶことが重要です。 目次オフィスビル投資の本質|住宅投資との決定的違い住宅投資との構造的な違いオフィスビル投資が選ばれる理由投資目的を明確にする選ばれるオーナーの資質成功の本質は「運営力」にあり オフィスビル投資の本質|住宅投資との決定的違い オフィスビル投資は、一見すると住宅投資と同じ「不動産投資」の枠組みにあります。しかし、その収益の仕組みと運用ルールは全くの別物です。住宅投資が「住むための場所」を貸す投資であるのに対し、オフィスビル投資は「企業が事業を行うための場所」を貸す投資です。この根本的な違いを理解せずに住宅投資と同じ考え方で物件を購入すると、空室が長引いたり、設備更新や修繕費の負担が増えたりして想定どおりの収益を確保できない場合があります。オフィスビル投資において重要なのは、物件を単に所有することではありません。テナント企業に選ばれ続ける事業環境を維持・向上させることです。 住宅投資との構造的な違い 住宅投資とオフィスビル投資では、借主や賃料の考え方、空室リスク、運営で重視すべきポイントが異なります。主な違いをまとめると、次のようになります。 比較項目住宅投資オフィスビル投資主な借主個人法人・事業者重視されるポイント生活のしやすさ・住み心地業務効率・立地・企業の信用力賃料の性格比較的安定市場や景気の影響を受けやすい空室要因転勤・結婚など個人の事情事業縮小・経営統合・移転など運営で重視すること入居の維持テナント満足度・建物競争力の維持 オフィスビルは景気の影響を受けやすい反面、運営者の判断次第で賃料や資産価値を高められる余地があります。つまり、オーナーの運営や改善の取り組みが収益に反映されやすい投資といえます。 オフィスビル投資が選ばれる理由 オフィスビル投資の魅力は、単なる賃料単価の高さではありません。主な魅力は、次の3つに集約されます。収益性を高めやすいオフィスは事業用であり、立地や設備がテナントの売上に直結します。使いやすいオフィス空間、清潔な共用部、安心できる管理体制が整っていれば、安定した賃料水準を維持できます。逆に、設備の不具合を放置すると空室の長期化や賃料の見直しにつながる可能性があります。 運営による改善余地が大きい築古ビルであっても、エントランスやトイレの改修、OA化、募集条件の見直しなど、改善の余地は残されています。すべてを新しくする必要はなく、テナントが不便を感じている箇所を見極め、費用対効果の高い部分に投資することが重要です。 運営が資産価値につながるオフィスビルは、建物が生み出す収益によって資産価値や売買価格が大きく左右されます。そのため、収益還元法による考え方が重視されています。空室を減らし、適正賃料を維持し、管理状態を整えることは、将来の売却時の資産価値向上につながります。つまり、購入後の運営こそが価値を育てる投資です。 投資目的を明確にする 投資目的が曖昧なまま物件を探すと、利回りの数字だけに目が向き、判断を誤る可能性があります。まずは、自身の目的を明確にすべきです。 投資目的重視するポイント注意点インカムゲイン安定した賃料収入空室期間と修繕費の予測をあらかじめ見込んでおくキャピタルゲイン将来の売却益売却価格だけを前提にしない節税・相続対策資産承継や相続税負担への備え節税のみを目的にしない 特に注意すべきは、表面利回りに踊らされないことです。オフィスビルには購入後の修繕費や維持管理コストが必ず発生します。実際に手元へどれだけ収益が残るのかを、空室期間や設備更新にかかる費用も考慮して確認することが、オフィスビル経営のスタートラインです。 .button-inquiry { border: #CC3624 solid 1px; background-color: ##FFF9F4; margin: 0 auto 40px; width: fit-content; text-align: center; } .button-inquiry a { display: block; padding: 14px 24px; color: #CC3624; font-size: 15px; font-weight: bold; text-decoration: none !important; } 【無料】オフィスビルの運営について相談する 選ばれるオーナーの資質 オフィスビル投資に向いているのは、物件を単なる「資産」としてではなく「経営する事業」として捉えられるオーナーです。管理会社にすべてを丸投げするのではなく、管理会社からの報告を確認し、必要な判断を行う姿勢が求められます。 ・空室の理由を「賃料のせい」だけで判断しない・修繕費を単なる支出ではなく、競争力を維持するための投資として考える・テナントからの要望を、建物を改善するヒントとして捉える・管理会社からの報告を活かし、必要な改善や修繕を判断する・購入時から将来の売却や承継を見据えて運営する オフィスビルでは、設備の小さな不具合や対応の遅れが、テナントの満足度を下げる要因になることがあります。一方で、日常管理や計画的な設備更新を行うことで、築年数が経過したビルでも競争力を維持しやすくなります。 成功の本質は「運営力」にあり オフィスビル投資において良い物件を買うことは重要だが、それは成功への第一歩に過ぎません。購入後の管理や修繕の進め方、そしてテナントに選ばれ続ける状態を維持できるかどうかが、長期的な収益を左右します。オフィスビル投資では購入時の価格だけでなく、その後の運営によって収益性や資産価値が変わります。だからこそ、物件を選ぶ前に「どのようなビルを運営したいのか」を明確にすることが重要です。次回は、資産価値や収益性を大きく左右する「立地」の考え方について解説します。【オフィスビル投資コラムシリーズ一覧】[ 第1回:オフィスビル投資とは?住宅投資との違いと成功の考え方 ][ 第2回:オフィスビル投資で押さえたい立地選びのポイント ][ 第3回:オフィスビル投資で失敗しない物件選び|規模と築年数の考え方 ][ 第4回:オフィスビル投資の収益分析|利回りだけで判断してはいけない理由 ]【あわせて読みたい】[ オフィスビルの設備管理とは?点検・修繕・更新のポイントを解説 ][ 空室対策は「テナントリテンション」が鍵|長期入居を促進する方法とは ] 【無料】所有ビルの管理・運営について相談する 執筆者紹介 株式会社スペースライブラリ 代表取締役 羽部 浩志 1991年東京大学経済学部卒業 ビルディング不動産株式会社入社後、不動産仲介営業に携わる 1999年サブリース株式会社に転籍し、プロパティマネジメント業務に携わる 2022年サブリース株式会社代表取締役就任(現職) ライフワークはすぐれた空間作り 2026年8月20日執筆
 
 
 
資料​ダウンロード お問い合わせ